民医連新聞

2003年11月17日

各地ですすむ受療権を守るとりくみ

各地ですすむ「秋のたたかいと共同組織強化発展月間」のとりくみ。中でも、「全職員が地域に出かける」ことが意識的に実践されています。

困難事例調べ社保学習強め

 【京都発】京都民医連では、医療、社会保障改悪により、増えている困難事例を調査。県連に報告される事例を共有するため県連ニュースも発行。

 「『お金いくらかかるんや?お金が心配』と訴える手術待ちの患者さんにケースワーカーが対応し、生活保護を受けることができた。『安心して治療できる』と喜ばれた」

 「朝早く外出し、夜遅く戻られる入院患者さんがいるので理由を尋ねると、『七六〇円の給食代が出せない、病院では食べないようにしている』と言われた」(中央病院)

 「中国から戻り、無年金のため治療中断した。息子はリストラ、孫も就職できず、不安で眠れない」(第二中央病院)

 「電気代が払えないので、豆電球一つで暮らしているの。今日二つ点けたのはわざわざ訪問してくれたから」(吉祥院病院)

 県連では、こうした困難を生んだ原因を学ぼうと社保学習パンフの活用もよびかけ、吉祥院病院では全職員がほぼ終わりました。地域訪問でポスターはりもすすめています。

国保証をとりかえした

 【石川発】石川民医連では、取り上げられた保険証を取り返し、治療を継続させたケースがあいついで報告されています。

 羽咋診療所では、小児ぜん息患者の家庭に資格証明書が発行されていたことがレセプトの返戻で判明。大工の父親には仕事が無く、長男は胃潰瘍、祖母は胃癌で二人とも入院。

 役場に相談に行くことをすすめ、保険料の分納を約束し、短期保険証が遡って発行されました。

 城北診療所に、全身の痛みを訴え、資格書を持って受診した五〇代の新患がいました。「お金がなくてもみてもらえる」との噂をきいて来院したとのこと。

 七年前から職を失い、貯金と退職金で生活していましたが、ここ一年は家賃も滞納、友人が食料を援助し命をつないでいました。

 患者さんと金沢市へ納付相談に。短期証が発行され、市の独自事業の医療費負担免除となりました。

区役所で「20万円払え」

 【神奈川発】汐田診療所では、中断患者さんへの働きかけを通じて、資格証明書などで診療所にかかれない患者さんへの対応をすすめています。

 四月から治療を中断している四四八人のカルテチェックを行い、五六人に電話をかけ、はがきを出しました。その中の一人が、資格書を出されて治療中断していることが判明。

 Aさんは高血圧ですが、区役所で「保険証なしで医療機関にかかると一〇割」と言われて受診できずにいました。娘さんが、役所に相談に行った際には、保険料二〇万円を請求されたといい、再交渉しました。

職場総出のカルテ総点検も

 【奈良発】土庫病院では、中断チェックの中で「治療費が払えず中断した」事例があり、SWが早速対応。

 糖尿病の五二歳男性は、「現在失業中で病院にかかりたいがお金がない。インシュリン注射の必要もわかっている」と。

 同院では毎月、中断患者さんにハガキと電話で連絡しています。また一〇月一五日には、中断カルテを再度総点検。一六職場から三三人が出て、三九八二冊を点検。うち働きかけが必要と考えられた患者は一六二人、早めの対応が必要と判断されたのが五人でした。

 医事課長の池嶋勝久さんは「医療費が重いという話は数多く聞きます。でも中断事例で具体的にわかったのは初めて。引き続き強めます」と話しました。

(民医連新聞 第1320号 2003年11月17日)

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