いつでも元気

2022年1月31日

お金をかけない健康法

 新型コロナウイルスのオミクロン株※1という新たな変異株の出現が、世界に衝撃を与えました。初めて検出されたのはアフリカ南部のボツワナ共和国で、昨年11月11日のことでした。
 その後、南アフリカなど周辺諸国に感染が拡大し、12月2日には英国、香港、カナダ、豪州など15カ国で確認。さらに12月7日までに米国や欧州各国など57カ国に広がりました(12月10日時点で62カ国2382人※2)。
 世界保健機関(WHO)は12月8日、最新の知見をまとめた声明を公表。コロナに感染したことのある人が再感染するリスクが従来株に比べて高いと指摘しつつ、症状は従来株より軽い可能性があるとしています。
 しかし結論を出すにはさらなるデータの蓄積が必要であり、オミクロン株の特性を解明するための監視体制の強化を各国に要請し、「現段階での油断は命取り」と警告しました。
 日本では海外からの入国者の検査で、オミクロン株の感染者が11月28日に初めて確認されました。原稿執筆時点で市中感染は確認されていませんが、感染力の強いオミクロン株がいずれ流行する危険があります。※3
 12月8日、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会議が開かれました。オミクロン株のウイルスの性状に関して十分な情報が得られていないとしながら、感染力・伝播性の高さ、再感染のリスクは高いこと、従来のワクチンや治療薬の効果がどれほどあるのか不明、などが懸念されると報告。重症度について十分な知見が得られていないものの、対策の強化が必要としました。
 第6波への備えとして、一層の感染対策と注意が必要です。また、世界全体でコロナ対策に取り組む必要があり、ワクチン格差の解消と公平な分配も急務です。

※1「オミクロン株」とはWHOの命名システムに従って、ギリシャ語アルファベット(24文字)の15番目の文字から命名された
※2イギリス保健当局によると、オミクロン株の再感染力はデルタ株の約5倍
※32020年7月末から入国時の検疫が抗原検査で行われており、「より感度の高いPCR検査に戻すべき」との指摘がある。PCR検査のためのスペースや宿泊施設確保など、水際対策の強化が求められる


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2022.2 No.363

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ