いつでも元気

2022年1月31日

若い組合員が続々と

文・新井健治(編集部) 写真・野田雅也

 コロナ禍の2020年9月、群馬中央医療生協の館林支部(館林市、明和町、板倉町)が誕生しました。
 同支部は地域の子育て団体と協力してさまざまな催しを開き、若い組合員が続々と加入しています。

※撮影時のみマスクを外しました

 「できた、できた」「こっちも見て見て」―。広場に集まった30人あまりの小学生が吹き戻し(ピロピロ笛)を思い切り吹きます。傍らで見守るのは、群馬中央医療生協館林支部理事の大塚紀夫さんと、元理事の松尾初美さん。
 松尾さんは館林市の学童保育「たてくら学童クラブ」で、吹き戻しを使ったピロピロ教室を開いています。「最近は遊びや食生活の変化で、子どもの噛む力や口を閉じる力が弱くなっている。幼い頃から遊びを通して鍛えておくことが大切です」と指摘します。
 たてくら学童クラブは「館林くらしとあそびの研究所」が昨年4月から運営。同研究所は食や健康、環境などを重視した子育てをしようと一昨年4月にできた一般社団法人です。代表で小学5年生から3歳まで4人の子どもがいる田端智子さん(41歳)は「地域のみんなで子育てをして、館林が好きになってほしい」と言います。
 館林支部と研究所は各種催しで協力。学童に子どもを預けている若い子育て世代は「以前は医療生協のことも知らなかった」と言いますが、わずか半年あまりで21人が新しく組合員に。館林支部の組合員数は支部結成前の224人から261人に増えました。

コロナ禍に支部誕生

 群馬県の東端にある館林市。民医連の太田協立診療所(太田市)から車で約40分と遠く、体操教室などはありましたが、なかなか活動の輪が広がりませんでした。
 緊急事態宣言により、一昨年4月から公民館など公共施設が使えなくなりました。そこで地域の組合員有志が「誰でも集える居場所をつくろう」と、地元企業の交流スペースを借りて7月に「ひまわり」を開設。9月に隣町の明和町、板倉町と一緒に館林支部を立ち上げました。
 ひまわりでは支部会議のほか、健康教室や革教室(革細工作り)を開いています。取材した昨年11月は、免疫力を高める「鼻うがい」の講習会でした。支部長の川島敬子さんは「組合員の行き場がなくて困っていましたが、ここなら安心して活動できます。健康はセルフケアが大事。コロナ禍で痛感しました」と言います。

鼻うがいの講習会。左から2人目が松尾初美さん

鼻うがいの講習会。左から2人目が松尾初美さん

医療生協の可能性

 館林くらしとあそびの研究所のメンバーの半数は、県外から館林市に移住してきました。ここを第二の故郷として、「子どもたちにも故郷を大事に思うようになってほしい。館林を好きになるには、遊んで遊んで遊び尽くすこと」と田端さん。
 「地域をよく知る祖父母の世代と交流したいと思っていたところ、たまたま松尾さんと知り合いになりました。昔の遊びや農作業なども教えていただいた。医療生協と私たちは“まちづくり”の仲間です」と言います。
 「若い人は気候変動や食の問題に強い関心を持っている。研究所の皆さんは偏見もなく、地域をよくする運動なら何でも協力してくれる」と松尾さん。
 松尾さんは学童で、感染症対策として手洗い教室も開く一方、研究所を通して支部の各種催しを案内し参加者が増えています。「医療生協は健康づくりのうえで最も頼りにされるはず。組合員の高齢化が課題ですが、地域のさまざまな団体と協力すれば、医療生協を理解してもらえるチャンスが生まれます」と指摘します。
 大塚さんは「支部で健康ウオーキングを開催しても、これまでは参加する層が限られていました。子どもでも楽しめる企画を用意して学童に声をかけたら、子どもと子育て世代が参加してくれました」と振り返ります。
 松尾さんと大塚さんは「地域に目を向ければ、医療生協の可能性は大きく広がります」と声をそろえました。

いつでも元気 2022.2 No.363

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