声明・見解

2005年10月14日

【声明2005.10.14】麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)2回接種法の導入にあたっての声明

麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)2回接種法の導入にあたっての声明

 2005年 10月14日
                          全日本民医連理事会

 2006年度からMRワクチンが実施され2回法が採用されることになった。これは麻疹・風疹の罹患を減ら すために歓迎できる施策である。より多くの子どもたちがこの機会に2回接種を受けられるように、また予防接種法の改正にあたって不利益を受ける子が出ない ように運用されることが望まれる。

I.接種期間の制限について

 今回のMRワクチン2回法はI期を1歳以上2歳未満の1年間、II期を小学校入学前の1年間に行なうとい う方式である。小学校入学前に2回の接種をより効果的に効率的に行うための方策と考えられ、我々も保護者や地域の人に対してこの期間内での接種を積極的に 働きかけ接種率向上の一端を担うつもりである。しかし一方で従来法定接種として1歳から7歳半まで認められていた期間が今回I期II期のそれぞれ1年間の みと制限されてしまった。上記の年齢をはずれた子には法に基づく接種は行われないことになり、当然費用の公費負担もなく、予防接種事故への公的な保証もな くなる。

 I期についてであるが、一定の努力をしても実際の医療現場では様々な事情で2歳までに受けられない子は必 ず発生する。その場合2歳をすぎて受けようとするときは高額の自己負担が必要になり、法に基づかない接種は引き受けない医療機関も出てくる。公的な接種を 受けようとすればII期の対象年齢まで待つことになり、その間に麻疹や風疹に罹患するおそれがある。このような事態は予防接種によりこれらの罹患を減らす という根本的な方針に反することになる。いろいろな事情で1期を2歳までに受けられない子にもなんらかの公的な救済処置が求められる。

II.2回法の対象者について

 II期の対象は新制度でのI期を受けた子とII期対象年齢までに麻疹・風疹を一度も受けていない子になる。
 2004年4月~2005年3月に生まれた子では、1歳になり従来の麻疹と風疹のワクチンを受けた児はII期の対象から外されるが、一方で、2006年 4月まで接種を待ちMRI期を受けるとII期を受ける権利が生じる。
 この移行処置は矛盾がある。今まで行政機関でも、民医連の小児科医も1歳になったらできるだけ早く麻疹を受けるようにと勧めていたのにもかかわらず、そ れに正直に従ったためにII期を受ける権利が失われ、その方針に従わない方が有利となるのである。
 矛盾を解決するため、2004年4月~2005年3月に生まれた子については麻疹と風疹の単独ワクチンを受けた子も両方II期対象者とするべきである。 そして安心して1歳すぎたらなるべく早く麻疹と風疹の接種を受けるよう勧めることが望ましい。
 日本は今まで麻疹・風疹の予防接種制度が諸外国に比べ大きく遅れていた。急いでこれらの予防接種を充実させる必要があり、2006年4月で2歳以上にな る子も法改正後の対応に準じて小学校就学1年前の1年間のII期接種の対象者とするように望む。
 麻疹あるいは風疹のいずれか一方に罹患した子に関しては、残る疾患の単独I期接種を公費にて継続し、II期の単独接種の追加もMRワクチンに準じて実施 すべきである。

以上

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