いつでも元気

2022年2月28日

郵便局で新たな手数料

文・新井健治(編集部)、脇本秀紀(保健医療研究所)

 今年1月から、郵便局で現金を払い込む場合、手数料が新たに110円かかるようになりました。
 「年会費など郵便局で納入している会員が多い。小さな団体にとって死活問題だ」と、民医連の友の会から抗議の声があがっています。

ゆうちょ銀行京都店に申し入れる京都中・右京健康友の会の藤原冬樹会長(中央)と南徹副会長(右端)=京都民医連提供

 郵便局で銀行業を担当する「ゆうちょ銀行」※1は1月17日から、会費などを現金で払い込む場合、新たに手数料110円を徴収する制度(加算料金)を始めた。ただし通帳やキャッシュカードを使い、ゆうちょ銀行の口座から払い込めば加算料金はかからない。
 個人で友の会会費などを払い込む場合、現在でもATMで152円、窓口で203円の手数料がかかっている。※2多くの友の会は「受取人負担」の伝票を使い、手数料を会として負担しており、会員本人には負担がかからないようにしていた。
 1月17日以降は受取人負担の伝票を使っても、現金で払い込む場合は、払い込んだ本人が110円を負担しなければならない。

ゆうちょ銀行に申し入れ

 宮城民医連と京都民医連の「共同組織連絡会」が昨年、ゆうちょ銀行に加算料金を見直すよう文書で申し入れた。
 要請書では「友の会の年会費は1000円前後で、郵便局を利用している会員が多い。従来の手数料は会で負担しており、そのぶん収入が少なくなっている。そのうえ、今回の加算料金とは全く道理がない。郵便局の口座を持たない人へのペナルティーではないのか」と抗議。
 「窓口で現金で会費を払えば、従来の手数料と加算料金を合わせて313円にもなる。1000円の会費なら3分の1。会費を払う人が減少し、小さな団体にとっては死活問題になる」とした。
 宮城民医連共同組織連絡会の申し入れに対し、ゆうちょ銀行お客さまサービス統括部が昨年11月に文書で回答。加算料金の理由について「キャッシュレスサービスの利便性向上の推進と、厳しい経営環境への対応」と説明。「現金支払いの処理は手作業のためコストが増加しており、ATMでは機械の故障につながっている。ご理解いただきたい」と見直すつもりはないと回答した。
 仙台南健康友の会(宮城県仙台市)の平尾伸二事務局長は「加算料金は、口座を持っていない人への差別ではないか」と怒る。

寄付金にも新たな負担

 一方、京都民医連共同組織連絡会には昨年12月にゆうちょ銀行から電話で回答があり、加算料金の理由は宮城と同様だった。
 京都民医連の友の会のうち、京都中・右京健康友の会は入会金のみで年会費はないが、毎年3月に全会員約1万1000人に郵便払込用紙を送り寄付金を呼びかけている。寄付金は友の会行事や会員対象の健康診断費用の補助に使っており、この取り組みにも大きな影響を及ぼす。
 同友の会副会長の南徹さんは「友の会だけでなく、子ども食堂の運営団体などに寄付しようと思っている人も新たな負担が生じる。1月から急に制度が変わり、郵便窓口で大混乱するのではないか」と懸念する。
 ゆうちょ銀行はホームページで「義援金、寄付金、税公金は加算料金の対象外」と説明しており、京都民医連共同組織連絡会は、この点についても質問。ゆうちょ銀行近畿エリア本部の説明によると義援金と寄付金の定義はなく、ゆうちょ銀行が審査をして決め、大部分は審査が通らないことが明らかになった。

郵政民営化の弊害

 「郵政民営化以降、年々サービスは低下し手数料は引き上げられている」と指摘するのは、仙台南健康友の会事務局長の平尾さん。
 ここ数年、郵便物の土曜休配、集配サービスの廃止などサービス低下の一方で、郵便料金は次々と値上げされた。今回の加算料金とは別に従来の手数料は2019年に倍近くに上がったうえ、ATMより窓口で払い込む方が高くなる。
 平尾さんは「会員には高齢者が多く、ATMなど機械の操作が苦手な人もいる。本来、郵便局は誰でも安心して使える公共的な組織のはず。今一度、地域の郵便局の役割を検証しなければ」と話した。


『元気』誌代納入にも加算料金

 『いつでも元気』の誌代支払いで郵便局を使っている販売所や取扱所は多く、現金で払い込む場合は新たな加算料金がかかる。昨年末以降、『元気』を発行する保健医療研究所に複数の問い合わせがあった。制度の仕組みを説明し、加算料金のかからない口座やコンビニからの支払いをお願いした。
 従来の手数料は保健医療研究所で負担しているが、団体扱いのため個人が払い込む友の会とは金額が違う。5万円未満の払い込みの場合はATMで90円、窓口で140円、5万円以上はATM300円、窓口350円がかかっており、毎月20万円前後を保健医療研究所が負担している。


※1 2005年の郵政民営化後、郵便局の業務は郵便物などを取り扱う「日本郵便」、銀行業の「ゆうちょ銀行」、生命保険業の「かんぽ生命」の3社に分かれた
※2 従来の手数料は金額や取り扱い内容によってさまざま。誌面で取り上げた手数料は「5万円未満・一般」の場合

いつでも元気 2022.3 No.364

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