民医連新聞

2022年4月5日

民医連奨学生に聞く! 有効な薬の選択を助言できる力つけたい 山口民医連 松永彩希さん(5年生)

 なぜ民医連の奨学生になったのか。全国の薬学生に聞く第5回は山口の松永彩希(さき)さんです。(長野典右記者)

■体験でやりがい感じる

 幼いころから口のまわりにできるヘルペスに悩まされていた松永さん。病院を受診したり、町の薬局で薬を買ったりすることも多く、ていねいに薬の説明をする薬剤師の姿に憧れました。小学校6年生の卒業のメッセージでは、将来なりたい職業に薬剤師と書きました。さらに、高校生のときに山口民医連主催の薬剤師一日体験に参加し、薬剤師がとてもやりがいのある仕事だと感じました。
 福岡の大学に進学してすぐに奨学生になりました。現在、大学の研究室では、マウスを使った抗がん剤の実験も行っています。

■オンラインでサポート

 山口県は2018年に初めて薬学部ができたばかりで、薬学生の多くは県外に出ており、小さな県連のため薬学生担当の専任者もいません。毎年開催していた奨学生会議も、コロナ禍で2年続けて中止に。今は、県連の担当者との面談や病院や保険薬局での実習を中心に行っています。定期的な面談では、学業に関することだけでなく、オンライン授業で友人と会えないなかでの悩みなども相談しています。松永さんは「一人暮らしで学生生活を送っているので、担当者との面談はメンタルサポートになっている」と言います。
 また、全日本民医連の定期発行物である『民医連医療』や『いつでも元気』を読んで、レポートの提出も行っています。コロナ禍での医療の最前線はもちろんのこと、長野・特養あずみの里裁判、無差別・平等の医療・介護福祉とアウトリーチ活動、無料低額診療事業などについて詳しく知り、自分に引き寄せて考える機会になっているといいます。これらの記事を読みながら、全国の民医連職員の医療・介護活動が、地域に根ざした、いのちと健康を守る活動であることを学んでいます。

■副作用モニターに共感

 実習では、実際に病室で見る患者と在宅で見る患者に違いを感じています。患者との会話も千差万別。フランクに話す人もいれば、淡泊な人もいます。「どう目線を合わせて、会話ができるかが医療従事者に問われている」と松永さん。どんな家族構成でどんな仕事に従事してきたのか、生活と労働の場で疾病を捉えることの大切さを実感する時です。
 薬を使うことで常に頭においておかなければならないのは、薬の副作用。県連の担当者も副作用モニター活動を行っていて、「民医連新聞」やホームページにも公開され、現場での活動から日本の医療機関に情報共有されていることも知りました。薬害をくり返さない活動を、全国組織としてとりくんでいることに共感しています。
 医師から薬のことを聞かれて、治療で使える有効な薬の選択肢を与えることができるような薬剤師をめざしています。患者やスタッフとのコミュニケーションを大切にするために、「相手の話を聞く能力を伸ばしていきたい」と。

■趣味はしばらく我慢

 「コロナ禍でも、患者のいのちと健康を守るために、医療従事者は最前線に立たなくてはならない存在。その使命感にも応えていきたい」と言います。
 現在もリモート授業の日々が続き、授業に参加ボタンさえ押せば出席扱いになっています。しかしここは気を引き締めどころ。「趣味のピアノとエレクトーンはしばらく辛抱しながら、残りの学生生活を充実させ、目標に向かってがんばりたい」と語りました。

(民医連新聞 第1757号 2022年4月4日)

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