民医連新聞

2022年5月6日

平和憲法を未来へ。 愛知 尾張健友会グループ

 日本国憲法の施行から75年、「憲法改悪を許さない全国署名」を軸にした運動が、全国ですすんでいます。憲法記念日の5月3日、今年は各地で、久しぶりに野外会場などに集まっての憲法集会も開かれます。愛知・尾張健友会グループでは、社会活動部が発信し、各部署での学習や意見交流をすすめています。もちろん、意見はさまざま。時に疑問をぶつけ合いながらも、一人ひとりを尊重し、憲法への理解を深め、行動へつなぐ好循環が生まれています。(丸山いぶき記者)

 「若き頭脳、すすむ脱ロシア。ウクライナ侵攻に抗議するロシア人の若者らが次々と祖国から…」
 4月19日午前8時半前、訪問看護ステーション・ちあきでは、朝会の冒頭、平和を祈願する10秒間の黙とうに続き、地元新聞の読み合わせで短時間の情勢学習を行っていました。傍らの掲示板には「部署平和宣言」(以下、宣言)が。「私たちにできるのは、まず学ぶこと。1日のなかで唯一みんなが集まれる時に」と渡部栄香さん(看護師)。3月末から毎朝このルーティンを続けています。

改憲策動に負けてられない

 昨年の総選挙の結果、改憲勢力が発議に必要な3分の2議席を確保。それに強い危機感を覚えた尾張健友会の社会活動部は、2月中旬から2週間に1回の「KENPOUニュース」を発行し、職場での学習と討議を呼びかけ、各部署や個人が感想や意見を寄せる仕組みもつくっています。
 「昨年度の人権 cafe、も同様にとりくんだので、職員の意識は高い。改憲勢力の動きに負けていられない」と中井智佳子さん(管理栄養士)。ほかに介護福祉士と看護師という、社会活動部の多職種メンバーとともに、労使共同スタンディングや部署平和宣言、車用マグネットアピール、横断幕・のぼり、署名回収ポスト、ウクライナ人道支援募金、友の会活動など、さまざまなきっかけをつくっています。

各部署が多彩に応え

 ケアハウスちあきでは日頃から入居者に声をかけ、3月10日に千秋病院前で行われた労使共同スタンディングに参加するなど、施設全体で意識高くとりくんでいます。「普段考えないことを考える機会をもらっている」と早矢仕菜央さん(管理栄養士、3年目)。
 施設修理や医材管理、福祉用具を扱う尾張健友サービスは、外部業者も訪れる商談スペースに「部署平和宣言」を掲示。職員にアンケートをとり、共通の思いを宣言にしました。「多世代部署なので、2週間に1回の討議がおもしろい。学んだことで、声を上げる必要性を感じる」と中川知春さん(福祉用具相談員)。
 千秋病院薬剤科からは、積極的に感想・意見が寄せられます。「本部からの積極的な発信に応えたい。ウクライナの惨状に心を痛める子育て世代の感想も多い」と原田真紀さん(薬剤師)。
 尾張健友福祉会からは、自家用車用マグネットの申し込みが35台分ありました。業務用車両56台、尾張健康友の会、ボランティアなどを加え、約200台が「平和憲法を未来へ」とアピールしながら、地域を走行しています。
 友の会には、街頭で署名活動をしている仲間もいます。柴田とし子さんは、ウクライナの惨状を見て、3歳の時の一宮空襲で見た、焼夷(しょうい)弾の油と炎で真っ赤に染まった川を思い出すと言います。「でも、『軍備が必要』という人もいる。学校で教わらないから」と、悔しさをにじませます。

共通の思いを探し

 近隣国に「脅威」を覚え、「戦争反対は大前提だが、軍は必要」「軍事費拡大も仕方ない」などの意見も複数、寄せられています。「いろんな意見があるからこそ、いま分岐点にいると感じる。そんな思いを込めて宣言にwarとpeaceの岐路のデザインを加えた(写真)」と尾張健友サービスの村瀬知美さん(薬剤師)。
 千秋病院医療福祉相談室では、本音を語れるように「言いっぱなし」を大事にしています。同時に、憲法が守る生活場面、軍事費の拡大と社会保障費の削減、「脅威」を政府があおっていることなどを学ぶことで、「知らなかった」「こんな見方もあるんだ」との声も聞かれます。同部署の宣言には、医療ソーシャルワーカー倫理要綱の文言が。服部あゆみさん(SW)は、「職種のアイデンティティーに憲法理念がある。医療・介護、子どもたちの未来も、平和であってこそ」と話します。

(民医連新聞 第1759号 2022年5月2日)

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