いつでも元気

2022年5月31日

お金をかけない健康法

 新型コロナワクチンの有効性と副反応について、よく質問を受けます。『日本医師会雑誌』2022年1月号のワクチン特集などを参考にしながら、そのポイントを紹介します。※1
 Aさんからの質問「新型コロナワクチンが有効との根拠は?」。
 有効性については、ファイザー製・モデルナ製ともに、非常に高い効果が確認されています。開発臨床試験では、新型コロナに対する発症予防効果は約95%。※2 さらに入院・重症化予防、死亡抑制でも同様の高い効果が確認されています。変異ウイルスに対しても、2回の接種完了による重症化予防や死亡抑制が85%以上の効果です。※3
 また、いち早くワクチン接種を実施したイスラエルでの研究によると、入院予防効果93%、重症化予防効果92%、死亡抑制効果81%と報告されています。※4
 Bさんからの質問「安全性については大丈夫?」。
 副反応接種部位の痛みなどの局所反応(70~80%)、倦怠感や頭痛などの全身反応(50%弱)、発熱(38%)など、一般のワクチンと比較すると高率です。しかし重い症状は少なく、ほとんどが数日以内には治まります。
 重い症状の副反応としては、アレルギー反応、特に重症のアナフィラキシーショックが心配されます。報告頻度は2021年7月現在、100万回接種当たりファイザー製ワクチンで5件、モデルナ製で2・2件と低く、その後も継続的に評価が行われています。
 その他、稀ですが心筋炎・心膜炎が報告されています。特に30歳未満の若年男性で自然発生を上回る頻度です。ただし報告頻度は100万回あたり0・6~0・8件と低く、多くが軽症です。新型コロナに感染すると、より高い頻度および重症度で心筋炎・心膜炎の合併が認められるため、ワクチン接種による利益は接種のリスクを上回ると評価され、接種が勧められているのです。

※1 文献: 「新型コロナウイルスワクチンの有効性・安全性と接種後の有害事象報告」(国立国際医療研究センター、予防接種支援センター長・氏家無限)
※2 発症予防効果95%とは、ワクチン接種グループで発症した割合が100人中0.5人に対して、プラセボ(偽薬)を接種したグループでは100人中10人が発症したということです。
※3 文献:『The New England Journal of Medicine』
   Vol.383、 2603~2651頁/『The New England Journal of Medicine』 Vol.384、403~416頁
※4 文献:『The Lancet』Vol.398、2093~2100頁


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2022.6 No.367

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