民医連新聞

2022年7月5日

核兵器禁止条約第1回締約国会議 オーストリア・ウィーンで開催

 6月21~23日、オーストリアの首都ウィーンで核兵器禁止条約第1回締約国会議が開催されました。日本の市民社会からも被爆者や被爆2世、3世などが多数参加。被爆証言や各国政府要請など、関連行事で共同をひろげました。

被爆者が証言世界は核兵器の非人道性を再確認

核禁条約に参加する政府を 

 第1回締約国会議は、核兵器の非人道性を再確認し、核抑止論を厳しく批判。条約への参加促進や核兵器の被害者支援など、条約履行への具体的方策を示した「ウィーン宣言」と「ウィーン行動計画」を採択して閉会しました。
 同会議には、20日までに条約を批准した65の締約国のほか、NATO加盟国のドイツ・ノルウェー・オランダなどを含む34カ国がオブザーバー参加。しかし、日本政府は、被爆者や市民社会の粘り強い求めにもかかわらず、オブザーバー参加すらしませんでした。
 核禁条約に参加する政府を実現するためにも、7月10日投票の参議院選挙が重要です。

〈現地からレポート〉
締約国会議からNPTへ
広島・長崎から「核兵器なくせ」の声を
原水爆禁止日本協議会 事務局次長 土田弥生さん

 核兵器禁止条約第1回締約国会議は初日から熱気でムンムン。禁止条約のプロセスは、NGOや平和運動が国連・各国政府と力を合わせてつくり上げてきました。
 国連の中満泉上級代表は、原水協との話し合いのなかで、今世界は「崖っぷちにいる。力を合わせてこの危機を打開しないといけない」とのべました。ロシアのウクライナ侵攻、核兵器使用の威嚇の事態に直面している今、締約国会議で禁止条約の履行を確立し、このような動きを絶対許してはならないと、締約国政府とNGOが結束した姿がありました。

核兵器禁止条約の力が大きく

 会議では、禁止条約が核軍縮の法的枠組みの一部になった意義や存在感を感じました。核保有国が入らないから、禁止条約は役にたたないという意見がありますが、直前でNATO加盟国のベルギー、オランダ、米国の同盟国であるオーストラリアがオブザーバー参加。禁止条約を無視できなくなったことを示しています。いかに核保有国に働きかけるかも議論され、核兵器のない世界をつくる息吹と共同がありました。
 日本政府は6月20日の核兵器の人道的影響に関する会議には出席したものの、締約国会議には不参加。おまけに、先頭に立っている被爆者をも利用していい顔をしようとする態度に、みな情けないやら怒りを感じるほどです。
 締約国会議にNATO加盟国やオーストラリアがオブザーバー参加したことで、被爆国日本に対する風当たりはさらにきびしく、いつまでも核抑止力一辺倒でいいのか、鋭く問われています。
 広島・長崎の原爆被害は、禁止条約の原点であり、被爆者や被爆国の運動の役割は、ますます重要になっています。会議は「われわれは、最後の国が条約に参加し、最後の核弾頭が解体・破壊され、地球上から核兵器が完全に廃絶されるまで、休むことはないだろう」との決意を示したウィーン宣言を採択し、閉幕しました。

世界大会から核兵器ノーを!

 締約国会議では、禁止条約がNPTを補完するものであること、特に核軍備撤廃の第6条の履行を補完することを強調。中満上級代表は、NPT再検討会議は8月に開くと決意をのべました。同じ時期に広島・長崎で開かれる世界大会は、「今こそ核兵器をなくせ」の強力なメッセージを現地から発信しなければなりません。

(民医連新聞 第1763号 2022年7月4日)

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