民医連新聞

2022年7月5日

診察室から 求められる歯科訪問診療

 私は、大分県医療生協・けんせい歯科クリニックに勤務している10年目の歯科医師です。生まれは奈良県ですが、祖父母のいた大分県に何度も訪れ、愛着を感じていました。そして、歯学部生の時に大分民医連に出会い、1年生の時から奨学生に。学生時代も含めると、なんと「17年目」の大分民医連歴です(計算があいませんか?お気になさらず…)。
 さて、近年は高齢者の増加にともない、歯科の訪問歯科医療の需要が少しずつ増えてきました。当クリニックでも、4人の歯科医師で、平日は毎日訪問診療の単位を設け、施設や患者宅へ訪問歯科診療を行っています。
 しかし、一般的な歯科医院では、まだ外来診療が中心です。厚生労働省は在宅歯科診療へのシフトに力を入れていますが、在宅療養支援歯科診療所は18・2%、全国的にはすすんでいません。アンケート調査をみると、在宅療養支援歯科診療所以外の歯科診療所では、「直近1年間に歯科訪問診療等を実施していない」が31・1%、「これまでに歯科訪問診療を実施したことがない」が29・9%でした。歯科訪問診療などを実施していない理由は、「人手または歯科訪問診療に充てる時間が確保できないから」57・9%、「歯科訪問診療を実施するために必要な機器・機材がないから」が43・3%、という結果でした。
 一方、当クリニックでは、実際に訪問診療での患者数は年々増大し、入れ歯の治療だけでなく、虫歯治療や、歯石とり、差し歯治療など、多様なニーズに応えるべく、歯を削ったりすることも可能な機械を導入し、外来の診療室と同じ治療を提供できるようにしてきました。患者からは「外来に行けなくても、同じ治療を受けられる!」と喜んでもらえるので、地域医療の実践ができていることにやりがいを感じています。
 これからも時代の変化に常に対応し、地域のみなさんが安全安心に暮らせる社会をめざして、日々の診療に努めていきたいと考えています。(中島一、大分・けんせい歯科クリニック・歯科医師)

(民医連新聞 第1763号 2022年7月4日)

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