民医連新聞

2022年9月6日

平和への思い 対話し、行動を 平和の波交流集会

 7月26日、全日本民医連は平和の波交流集会をオンラインで開催し、全国314の個人・会場からアクセスがありました。核政策を知りたい広島若者有権者の会(カクワカ広島)共同代表の田中美穂さんの学習講演や、全国の民医連の活動報告、楽器演奏と歌の文化企画を通して、平和への思いを交流しました。(稲原真一記者)

 全日本民医連の増田剛会長が開会あいさつ。「大変な情勢でも、職員は平和の課題をがんばった。この集会を、これからの勇気と活力にしてほしい」と呼びかけました。韓国のグリーン病院院長のイム・サンヒョクさんからは、「日韓の市民の連帯で平和を築き、コロナ禍を乗り越えましょう」と動画でメッセージが届きました。文化企画としてベースと三線(さんしん)のデュオ「8弦チャンプルー」による演奏と、有志によるカチャーシーが披露されました。

平和、核廃絶へ一歩ずつ

 今回の学習講演のテーマは「核なき未来へ―動き始めた若者たち」。講師の田中さんは、2017年の核兵器禁止条約の採択で核廃絶に関心を持ち、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲さん(3面に関連記事)との出会いや、被爆者のサーロー節子さんの言葉に心動かされ、仲間とカクワカ広島を立ち上げました。
 19年からは国会議員に、核についての認識を聞き取り、結果をSNSや報告会で周知しています。先日の参議院選挙では、候補者の核兵器禁止条約への考えを一覧にして公表。田中さんは「条約に反対の立場でも同じ思いを持っている人がいると知り、対話の必要性を感じた」と言います。
 今年6月にウィーンで行われた、核兵器禁止条約の第1回締約国会議には3人の代表を派遣しました。会議での発言に加え、マーシャル諸島の核実験被害者との交流や、事前企画に参加した外務省の職員に、オブザーバー参加を求めるオンライン署名を見せて交渉するなど、さまざまな活動をしました。
 サーロー節子さんの「平和とは、すべての人に社会正義をもたらそうとする努力のプロセス」という言葉を紹介。「私たちがやるべきことは、常に動き続けること。小さな変化を積み重ね、大きな変化になることを信じて、核のない未来をいっしょにつくっていきたい」と結びました。

各地で旺盛に活動

 全国からは、この間の平和活動の報告が行われました。
 広島からは石田将士さん(事務)が、黒い雨プロジェクトの活動を報告。黒い雨被害者の被爆者健康手帳申請の相談会や、相談員養成学習会を開催しました。11種の疾患が申請要件になっている問題では、国や県に抗議しました。関連団体と連携し早期の被害者救済を訴えました。
 長崎からは小森恭平さん(理学療法士)が、県連平和学校のとりくみを報告。長年被爆者医療にとりくんできた冨田満夫さん(医師)の学習講演や、被爆遺構巡り・ガイドを実際に体験することで、学びを深めています。
 東京からは増子基志さん(事務)が、立川相互病院で行った「世界の平和について話をしよう」プロジェクトを報告。職場での対話から、産婦人科やリハ科では独自の活動を行い、目標を大きく上回る署名やカンパが集まりました。
 岐阜からはみどり病院青年委員会が、第1回締約国会議に参加した、被爆者の木戸季市(すえいち)さんを招いた報告会について報告。参加職員が「9条を生かした対話の大切さを感じた」「あるべき日本の実現に向けてがんばりたい」など、感想をのべました。
 長野からは河野絵理子さん(医師)が、長野反核医療者の会の結成と活動を報告。結成をきっかけに執筆依頼やNHKの取材、学生向けの講師依頼などがあり、会結成の意義を実感。「世代を超えて学び合い、さまざまな人とつながりたい」と決意を語りました。
 全日本民医連副会長の上原昌義さんが閉会あいさつ。「集会を通じて、平和を祈るのではなく行動することが大切だと感じました。対話を通して、平和、核廃絶に向けて、みんなでがんばっていきましょう」と呼びかけました。

(民医連新聞 第1767号 2022年9月5日)

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