声明・見解

2006年8月10日

【声明2006.08.10】厚労省は控訴をやめ審査基準の全面的見直しに直ちに着手せよ 原爆症認定訴訟・広島地裁判決についての声明

2006年8月10日
全日本民医連原爆症認定集団訴訟支援医師団
全日本民医連被ばく問題委員会

 被爆61年を迎えた8月4日、広島地裁は、原告41名全員に対する原爆症認定申請への却下を取り消す判決を下した。これは集団訴訟としては大阪地裁判決に続く全面勝訴である。

 今回の広島判決は大阪判決から更に一歩進んで、「DS86」に基づく被曝線量の算定や「原因確率」および「審査の方針」が、「現在の知見からすると不十分な点も多」く、「様々な限界や弱点がある」ことを明確に指摘したものである。

 判決は、医師側から提出された専門的知見に関する意見書に基づき、各原告の被爆直後の状況、急性症状、 その後の生活状況・健康状態などを全体的、総合的に考慮した上で、申請疾病について、放射線起因性が存在する科学的根拠があると判断しており、また原告に みられた白内障、慢性肝炎、骨折、慢性膵炎等を原爆に起因すると認定するなど、癌以外の疾患に大きく門戸を開くものとなった。

 さらに、国側が「術後5年たって再発のない癌は治癒したものと判断する」と述べている術後の癌の要医療性についても、「医師の意見書等を考慮する」と「現に医療を要する状態にある」と認めた点でも画期的な判決である。

 被告である国は、二つの裁判だけでなく、他の全国14地裁の裁判においても、残留放射線や内部被爆の人 体影響に関する原告の主張に対する反論立証をほとんど行っていない。にもかかわらず、「判決がどうであれ、科学的で公平な現在のシステムを見直す必要は全 くない」(厚労省幹部)との頑なな立場を取り続けている。

 私たちは、厚労省が広島地裁判決を受けとめ控訴することなく、直ちに審査基準の見直しに着手することを要求するものである。引き続き全国15地裁、1高裁のすべての原告の完全勝訴をめざし、全力で取り組む決意をここに表明するものである。

以上

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