声明・見解

2022年11月8日

【2022.11.08】衆議院における感染症法改正案の拙速な採決に強く抗議する

2022年11月8日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛

 11月8日、衆議院において、感染症法改正案が可決されました。
 改正案には、「罹患後症状に関わる医療の在り方の検討」や「予防接種の有効性及び安全性に関する情報の公表のあり方の検討」などの修正案が盛り込まれ、一定評価できる内容ではあるものの平時から余力のない、逼迫した医療提供体制や公衆衛生機能等の根本的な問題を正すものにはなっていません。

 そもそも、改正法案が示す危機管理の対応の柱は、感染症病床確保の責任を都道府県に押し付け、医療機関に対しては法的強制によって統制強化を図ることです。具体的には、都道府県と医療機関は、病床確保や発熱外来の設置について事前に都道府県との「協定」締結を求められます。公立・公的病院、特定機能病院、地域医療支援病院には、感染症医療の提供を義務化し、勧告・指示に従わなければ指定取り消しなどの重い罰則が設けられています。また、民間医療機関は、都道府県と「協定」を結ぶための話し合いには必ず応じなければならず、協定履行状況は公にされ、協定に沿った対応をしない場合は指示や病院名の公表等が行われます。
 しかし、国会質疑の中でも「今般のコロナ禍において、正当な理由なく病床確保に応じなかった医療機関はあったのか」との問いに対し、政府は「できうる限りの協力を医療機関はしていた」と答弁しており、そもそも立法事実がないことが明らかになっています。医療崩壊を引き起こした、根本的な原因について、検証と総括が不十分と言わざるを得ません。さらに、改正案は流行初期医療確保措置に保険者の負担を求めており、感染症対策は公費で行う原則にもとります。

 パンデミックにおける病床確保等に必要なのは、統制強化と罰則ではなく、これまでの新型コロナウイルス感染症対策や施策について、専門家の意見を踏まえて十分な検証と総括を行ない、財政支援や医療・介護・福祉・公衆衛生に関わる体制を抜本的に見直し、大幅に人員を増やし、緊急時にも対応できる体制を再構築することです。

 全日本民医連は、参議院において、感染症法改正案を徹底審議し、廃案を強く求めます。

以上

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