民医連新聞

2022年12月6日

憲法カフェ ぷち⑰ あるあるな「憲法古い」論③

 「今の憲法はアメリカの押し付けであり、自主憲法ではない」と言われることがあります。しかし、憲法制定過程を見てみると、決してアメリカから「押し付け」られた憲法とはいえないことがわかってきます。
 終戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、当時の幣原首相に憲法改正を指示しました。しかし、日本側が挙げたいわゆる松本案は、天皇主権で国民の基本的人権を制限する大日本帝国憲法と基本的には変わらないものでした。
 そこで、GHQはこれを拒否し、いわゆるマッカーサー草案を提示したのです。この草案を元に、日本側とGHQの間で数々の調整がなされることになります。日本側が提案して修正された主なものは、①前文にて国民主権を宣言、②9条1項「日本国民は…誠実に希求し」を加筆、9条2項で「前項の目的を達するため」を追加(いわゆる芦田修正)、③25条に生存権の規定「健康で文化的な最低限度の…」を挿入、④26条の義務教育を延長…などです。
 このように、GHQの草案を元にしつつも、日本側が数々の修正を施しました。ですから、「押し付け」ではなく、むしろ日本側が自主的に緻密な人権規定や平和条項などをつくったのです。これらの規定のある憲法を、圧倒的多数の国民が歓迎して受け入れたという歴史に目を向けるべきではないでしょうか。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1773号 2022年12月5日・19日合併号)

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