いつでも元気
2023年1月31日
終活講座
お墓編②
いざ、お墓を持とうと思った時、まっ先に霊園の見学が頭に浮かぶかもしれません。しかし、見学の前に知っておいてほしいのが「石材店」とのかかわりです。
墓を持つには、石材店との契約が必要です。墓がある場合はすでに石材店との取引があるでしょうが、これから墓を建てる場合のみならず、墓じまいで別の墓地に移す場合にも、移転先で石材店を探さなければなりません。
なお、言葉の意味合いとして「墓地」はお墓のある場所(寺院や霊園など)を指し、「墓所」は墓地の中で墓を建てる場所(墓の区画)とイメージしてください。
墓地が先か石材店が先か
墓地や石材店を選ぶ場合、たいてい次の2パターンになります。「墓所を購入したから、そこに墓を建ててもらいたい」のか、「墓地は決まっていないけれど、墓を建てたいから先に石材店に相談や依頼をしたい」のかです。
墓地と墓所を先に決めてから石材店を選ぶのか、石材店を先に決めてから墓地や墓所を選ぶのかの違いです。ややこしいのですが、どちらが先なのかによって自由に墓地や石材店が選べないことがあるので注意が必要です。
指定石材店制度
石材店は墓地で墓を建てたり納骨するほか、墓を撤去し区画内を更地にしたりします。しかし、どの墓地でも自由に業務ができるわけではありません。墓地ごとに石材店が決まっているからです。これを「指定石材店制度」といいます。
墓地には「民営霊園」「寺院墓地」「公営霊園」の3種類がありますが、民営霊園と寺院墓地がこの指定石材店制度をとっています。とはいえ必ずこの制度をとっているとは限らないため、実際には墓地に確認してみなければ分かりません。
指定石材店制度により、「A霊園」で墓を持つ場合は「A霊園で業務が行える石材店」に依頼しなければなりません。詳しくは次回に説明しますが、A霊園に聞けば依頼できる石材店が分かります。
つまり、民営霊園と寺院墓地で墓を持ちたい場合は、先に石材店を決めてしまうと、その墓地に墓を持つことができないかもしれないということです。
公営霊園は、どこの石材店でも墓を建てたり墓を撤去したりすることができます。自治体が管理している霊園のため、業者を限定することができないからです。
公営霊園なら、墓地を先に選んでも石材店を先に選んでも、どちらでも大丈夫です。ただし、墓地の場所が石材店の営業範囲内である必要はあります。
明石 久美(あかし・ひさみ)
明石シニアコンサルティング
明石行政書士事務所代表
相続・終活コンサルタント、行政書士
ファイナンシャルプランナー(CFP)
千葉県松戸市在住
著書に『死ぬ前にやっておきたい手続きのすべて』(水王舎)『配偶者が亡くなったときにやるべきこと』(PHP研究所)など
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いつでも元気 2023.2 No.375
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