民医連新聞

2023年2月21日

にじのかけはし 第21回 最初の一歩のすすめ方 文:吉田絵理子

 私がLGBTに関する活動を始めた2018年頃、女性のパートナーはいたものの、他に当事者の友人や知り合いはほとんどおらず、右も左もわからない状態でした。そこで、まずはLGBT当事者の医療従事者が集まる会に参加したところ、LGBTのサポート活動をしている人たちとつながりができ、自分に何ができるかを具体的に考えられるようになりました。最初は医師としてLGBTに関して話せることは一つもなく、地道に英語の教科書や論文を読みすすめました。孤独な作業でしたが、途中で同じ関心を持つ医師たちに出会えて、活動の幅が一気にひろがりました。とはいえ、当時は医療従事者の間でも「LGBTと医療」への関心は薄く、講演などを企画しても採用されないことがあり、落ち込むことも多々ありました。しかしうれしいことに、そこから数年で驚くほど関心を持つ医療従事者が増えました。
 また私は当事者ということもあり、関心を持ってもらえないと傷ついてしまうこともありました。そんな時、同じ未来を見ている人たちに弱音を吐けたことで助けられ、心折れずに活動を続けられました。今は全国各地にさまざまな当事者団体、サポート団体があります。私はLGBT当事者の1人ではありますが、自分とは異なるセクシュアリティーの当事者と話すと、毎回学びがあります。ぜひ、地域のLGBTサポート団体に連絡して、つながりを持ってみてください。
 ふり返ると、仲間をつくる、活動団体とつながる、完璧でなくても小さなことからトライしてみることが重要でした。初めての講演の時は、間違ったことを言ってしまわないかと不安で、活動家の先輩に原稿の確認を頼みました。今でも、以前話した内容は適切ではなかったと気づくことがあり、日々修正しています。性の多様性は奥が深く、完璧に理解してから始めようと思うと、なかなか踏み出せません。小さなことからでも、一歩ずつ挑戦してみることをお勧めします。
 そして「どうやって仲間を見つけたらいいだろう」と思った人に朗報があります。ついに、全日本民医連に「SOGIコミュニティ」が立ち上がることが決まりました。詳しくは次号でお伝えします。


よしだえりこ:神奈川・川崎協同病院の医師。1979年生まれ。LGBTの当事者として、医療・福祉の現場で啓発活動をしている。

(民医連新聞 第1777号 2023年2月20日)

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