いつでも元気

2007年10月1日

後期高齢者医療制度ひどすぎる 民医連は あらためて中止・撤回を要求 本誌記事に反響ぞくぞく

“年金から天引きなんていつ決めた?”

 「ひどすぎる。扶養家族で保険料負担のなかった人からも年金から保険料を徴収するなんて、血も涙もない『悪代官』の所業そのもの」(愛知、50歳女性)
 「後期高齢者医療制度って?」(本誌8月号)の特集への反響が、ハガキや電話で編集部につぎつぎ寄せられています。
 「お金の切れ目が命の切れ目」といわんばかりの制度。北海道の七七歳男性は「『早く死ね』という言葉を投げかけられたら『怖れ』よりも『悲しみ』でいっぱいになるでしょう。そのことを政治で当然のこととされたら『殺人』と変わらない」と。
 この制度で困るのは高齢者だけではありません。両親(父80歳、母74歳)と住むという福岡の四四歳男性から、次のような電話がかかってきました。
 「私の仕事は時給七六七円。一日四〇〇〇円にしかならないため、両親の国保に入っています。母も来年七五歳。両親が後期高齢者医療制度に移されたら、自分は一人で国保に入らなければならない。そんな余裕はありません」

基礎年金(最高年79万円)生活者の場合で保険料を試算してみると―

  北九州市、本誌概算

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「保険料は国の試算より高い」

 

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この笑顔を曇らせたくない(静岡・服部憲幸)

 気になるのは保険料です。九月上旬に厚労省が算定基準を提示し、九月中に各都道府県ごとにつくられた「広域連合」で試算、一一月の広域連合議会で具体的な保険料の額が決まるという予定です。
 ところが七月時点に各地の社会保障推進協議会が問い合わせたところ、早くも厚労省のいう年平均「七万四四〇〇円」より高額になると答える広域連合が出て います。八万五〇〇〇円(北海道)、九万円(神奈川、福岡)など。「国がいう額は医療費の部分だけ。実際は医療費の支払いの事務費や葬祭費なども保険料か ら出るため、もっと高くなるはず」との指摘もありました(愛知の広域連合)。

〇円→四万円超の負担増の人も?

 保険料は一人ひとりに必ずかかる「応益割」(均等割)と、年収から一五三万円を引いた金額にかかる「応能割」(所得割。厚労省は七%と試算)の合計にな る予定です。厚労省は両者の割合を平均的な収入額の厚生年金生活者(年二〇八万円)で、「五〇対五〇」と説明してきました。
 表はこの説明にそって基礎年金者の場合を試算したものです。所得割については、収入が一五三万円以下なので0。均等割は、保険料を平均九万円とした福岡県では、四万五〇〇〇円になります。
 (1)基礎年金で生活する、ともに七五歳以上の夫婦の場合、保険料は均等割だけとなり、年収一五三万円以下は七割減免されるので一人あたり一万三五〇〇円、二人で二万七〇〇〇円ということに。北九州市では〇七年までと比べ、三二〇〇円の負担増です。
 (2)妻のみ七四歳以下の場合は、妻だけが国保に残されるため、夫婦で六三〇〇円も保険料が上がります。
 (3)保険料を世帯ごとではなく、七五歳以上のすべての高齢者から徴収するため、子どもの被用者保険の扶養家族の場合は、基礎年金生活者でも保険料は〇円から突然四万五〇〇〇円にもなります(〇八年、〇九年は半額)。
 所得割の保険料率も七%ですむ保証はありません。ことし五月、小池晃参議院議員の追及に厚労省も七%以上になる可能性を否定しませんでした。
 均等割と所得割の比率も、厚労省は八月に入って「全国平均であり、県によって変わる」といいだしました。「五〇対五〇で設定する」という説明が、全県には当てはまらないことになります。
 県民所得が低い県では多くの保険料を確保するため、均等割の割合を高める可能性もあります。所得の多少にかかわらず全員から徴収できるからです。所得の低い人に重い負担が強いられることになります。

制度を知らせ、中止に追いこもう

 「こんなひどい制度はおかしい」との声が広がりつつあります。
 全日本民医連が全国九〇〇〇病院に送った「後期高齢者医療制度創設や療養病床の削減中止・撤回を求める」見解に対し、「『病気になって自立できない高齢 者は診療を受けずにさっさと死んでくれるのは望ましい』という制度、なぜこんなことがまかり通るのか?」(東京)、「『長生きしてスミマセン』といわしめ るような国の政策は絶対に許せません」(沖縄)などの反応が返ってきています。
 「ご近所の男性が『後期高齢者医療制度ってどういうこと? 年金から天引きなんていつ決めたんだ』と気色ばんで訪ねてきました」(福島・76歳女性)
 知らせれば怒りが広がる制度。中身を知らせ、「とにかく来年四月からという決定は取り消してください」(岡山・70歳女性)という声を広げるときです。
文・多田重正記者

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この秋が正念場。中止・撤回を求める署名広げよう

いつでも元気 2007.10 No.192

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