事業所のある風景

2023年5月15日

民医連事業所のある風景 熊本 水俣協立病院・神経内科リハビリテーション協立クリニック・在宅ケアセンター協立 開院当時から水俣病救済にとりくむ

 水俣協立病院、神経内科リハビリテーション協立クリニック(以下協立クリニック)は、鹿児島県との境に位置する水俣市にあり、水俣病原因企業であるチッソと国道一本をはさんで向かい合っています。チッソ工場の先には、水銀を長年流してきた八代海(別名:不知火海)が開けています。

水俣の地で49年

 水俣協立病院の前身は1974年に開設した「水俣診療所」です。熊本県連では70年から水俣病患者救済にとりくみました。チッソ城下町での医療活動、患者救済は、平坦な道のりではありませんでした。広く長い不知火海沿岸から地道に患者を拾い上げていく検診・調査を行い、水俣病患者を掘り起こしていく中で「水俣病の治療を中心とする診療所建設」運動がすすみ、建設資金目標3000万円のうち半分がカンパで集められ、水俣診療所が開設しました。
 開所後ほどなく、1日外来患者数が100人を超え、入院を必要とする患者は他医療機関への紹介を行っていたこともあり、「診療所を病院に」という要求は急速に強まり、78年に水俣協立病院が32床で開設しました。その後も、法人、県連、九州・沖縄地協、全日本民医連、被害者団体、支援者団体、弁護団と力を合わせ水俣病の大小さまざまな検診も実施し、担当医師も検診結果・被害の実態をもって裁判での証言台に立ち、「すべての水俣病患者を救済せよ」の世論を喚起してきました。
 現在は地域包括ケア病棟60床を有し、訪問診療、訪問リハビリなどで在宅での医療・介護ニーズに小回りの利いた活動をすすめています。決して大きくはないですが、健康診断、SAS(睡眠時無呼吸症候群の診察)、人工透析、内視鏡検査などの要求にも応えています。病院に隣接した「在宅総合ケアセンター協立」では主に介護保険制度で、訪問看護、訪問介護、居宅サービス事業を実施し医療と介護との連携の架け橋となっています(右写真)。
 90年、門前診として水俣理学クリニックが開設されました。名称のとおり水俣病患者の治療研究を目的に理学療法などを行ってきました。水俣病の臨床疫学研究のとりくみは、国内外でも随一のものです。2002年の院長交代時に現在の名称へ変更し、神経内科、精神科、内科、労災職業病(振動病)を中心に診療を行っています。近年、ストレス・トラウマ系疾患、発達障害などの相談が増えてきており、地域の福祉・行政・就労など、関係機関との連携がすすんできています。通所リハビリテーションでは高齢者の生きがいづくり、自立支援に向けたサービスを提供しています。

建て替えに向けて

 水俣協立病院は78年、協立クニックは90年の開設以来、改築・増築を行ったものの施設躯体は開設時のままで施設の老朽化もあり、現在リニューアルプロジェクトでの新病院建て替えを検討しています。今後の地域から高まる在宅や介護ニーズに迅速に、柔軟に貢献できるよう、また医療機関・介護等施設のハブ的役割を発揮できるような医療・介護構想を練り上げていきます。 
水俣協立グループ管理部)

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