声明・見解

2023年6月12日

【声明2023.06.09】参議院本会議における入管法改正案の可決・成立に満身の怒りを込めて抗議する

2023年6月9日
全日本民主医療機関連合会
会 長   増田 剛

 6月9日、政府が提出した入管法改正案(以下、「政府改正案」という)が参議院本会議において自民党、公明党、維新の会、国民民主党の賛成により可決・成立しました。立憲民主党、共産党、れいわ新選組、沖縄の風等は反対しました。
 全日本民主医療機関(以下、「全日本民医連」という)は、政府改正案の可決・成立に満身の怒りを込めて抗議します。

 この間の国会審議の過程で、政府改正案の重大問題が次々と明らかとなりました。政府は、「難民審査は適切に行われている」、「難民が難民として認められずに、強制送還されることはない」とし、柳瀬房子難民審査参与員の「難民を探しても、ほとんど見つけることができない」という説明を、難民申請者の送還が許される根拠の一つとしました。しかし、当該参与員が年間1,000件を超える不服申立てをわずか30日あまりで処理していたことが明らかにされ、入管の極めてずさんな難民認定審査の実態が浮き彫りになり、立法事実が根底から覆されました。
 難民認定制度そのものに重大な欠陥があるため、日本の難民認定率は1%程度と極端に低く、本来難民である人が難民として認められていないことは明らかです。

 全日本民医連が独自に実施した「外国人医療に関わる事例調査」では、難民申請中で仮放免中の外国人の基本的人権が保障されておらず、あらゆる社会保障制度から除外され、就労も禁止されており、医療にかかることもできない実態が明らかになりました。同調査には、国籍国で迫害や拷問などによって命からがら日本に逃れてきた外国人が、難民申請をしても難民として認められないといった事例が多数寄せられています。政府改正案により、3回目以降の難民申請者を強制送還すれば、送還先で迫害や拘束、さらには命を奪わる事態になりかねません。

 このような国際人権法に違反する非人道的な政府改正案は、国際社会が到達している人権保障の立場からも決して許されません。国際人権基準に則り、受療権の保障を含めた外国人の人権が保障される入管法に正すよう強く求めるとともに、命を奪うことにつながりかねない難民申請中の外国人の強制送還に断固反対するものです。

以上

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