副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2023年10月17日

副作用モニター情報〈605〉 ビスフォスフォネート経口製剤による急性期反応

 ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)は骨粗しょう症治療薬としてひろく使用されています。腸管からの吸収が非常に悪いBP製剤は、空腹時の服薬が必要であること、吸収に個人差があることが治療継続の障害となっていました。
 登場した頃は、毎日もしくは1週間に1回の服用法でしたが、注射剤や1カ月に1回といった間欠投与型経口製剤が開発されたことで、こうした問題は軽減されてきました。
 一方で、高用量のBP製剤が血中に入ることで、一過性に発熱・筋肉痛といったインフルエンザ様症状(急性期反応)が発現することがわかっています。
 通常、急性期反応は投与後3日以内(多くは1日以内)に出現し、1週間以内に症状が消失しますが、今回は経口BP製剤服用後6~7日目に急性期反応が出現した症例を紹介します。

症例)70代前半女性
 骨密度・YAM値ともに低値のため月1回経口内服BP製剤アクトネル錠75mgを開始。服薬7日目の薬局フォローでは、消化器症状など明らかな副作用症状はみられず。4回目の服用後、来局時に副作用の訴え有り。服用後6~7日目にふらつき、倦怠(けんたい)感、食欲不振、背部痛、熱感が現れ、服薬後21日目に症状回復。これを服薬ごとにくり返している。特に服薬後6~7日目は症状がもっともひどかったとのこと。

* * *

 BP製剤による急性期反応の予防薬としては、解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンやイブプロフェン以外にも、その発現機序からビタミンD製剤が急性期反応の発現予防に有効とされています。BP製剤は臨床試験でビタミンDと併用で効果を確認していますので、むしろ併用は好ましいです。
 今回の症例のように、通常報告されている副作用発現期間とずれて副作用症状が出現することがあります。再現性などに注意し、副作用症状を見逃さないことが大切です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1793号 2023年10月16日)

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