民医連新聞

2004年3月15日

全体会の発言から

医療の安全・倫理・ISO

 今田隆一代議員(宮城・泉病院、医師)は三五期の倫理委員として、倫理委員会の設置の推進を呼びかけました。
 「日本には、患者や介護・福祉施設利用者の『権利』を包括的に定めた法律がない。したがって倫理問題の判断根拠は、(1)学説、(2)判例、(3)『善 き医療者・介護者としての自覚にもとづく判断』となっている。一方、民医連では倫理問題のとらえ方は『患者・利用者の権利を守り、発展させるための具体的 な実践的な方法の検討』と、明確。設置がまだ二〇%で低いが、「専門家集団」である倫理委員会の設置は必須。そこでの集中した討議と日常の医療・介護実践 で『人権問題に気づく』こと、日常のカンファランスや臨床倫理の手法を駆使した検討を結合していこう」と発言しました。
 五十嵐修理事は、「医療事故は大規模病院だけが危ない」という「観測」は「思いこみ」だと指摘し、すべての事業所で安全・安心のとりくみを強めよう、と発言。
 「二年七カ月間に報告された一九二〇件を分析した結果、一〇〇床未満の病院、老健施設でも、骨折や死亡など重症事例があった。二〇〇二年以降に事故・事 件として報道されたものは一八件あり、うち一〇〇床代の病院のものが八件、一〇〇床未満一件、診療所二件だった。九州・沖縄地協、関東甲信越地協での、相 互診断、自己チェックなどの活動を参考に、すべての事業所で安全・安心のしくみづくりをすすめよう」と呼びかけました。
 満田美穂子代議員(埼玉・在宅ケアセンターうらしん、事務)は、介護事業所でISO9001認証を取得した経験を報告しました。
 医療生協さいたまの「全事業所で取得する」方針のもと、一八の介護事業所「群」が、一事業所として取得しました。
 満田代議員は、「手順書づくりや内部監査の実施で、各事業所が仕事のしかたをお互いに見せ合いながら、より効果的・効率的な方法を追求できた。認証後の 職員アンケートでは、仕事の統一化やルールの明確化などで評価が高かったが、サービス、苦情対応、職員教育では低かった。ISOはある時点の品質の善し悪 しを判定するのでなく、継続的に品質向上にとりくむシステムなので、今後の運用が課題だ。また取得のプロセスに参画した度合いの強い職員ほど評価が高い傾 向があった」と報告しました。
 有田孝司代議員(愛媛生協病院、医師)は、約一年間準備し、二〇〇三年八月、ISO9001認証を取得した経験を報告しました(写真)。
 「あいまいだったルールを文書化し、その最新版を管理することで、組織全体に浸透させるしくみができた。患者の人権を守る原則を明記した『重大医療事故 への対応マニュアル』を作成していたので、医療事故発生の際も、機敏で原則的な対応ができた」とのべ、「根拠にもとづく科学的な管理に役立つ」認証取得を 推奨しました(同院は八〇床、厚労省も注目する日本一小さい臨床研修病院とのことでした)。

介護・福祉

 松本弘道代議員(山形・庄内医療生協、事務)は、まちづくり協同組合「虹」の設立について発言しました。
 庄内地方の地域経済は危機的です。昨年、地元に就職を希望した高校生の採用率は三割、一〇年間で一町の人口に等しい八六〇〇人の人口が減りました。ま た、地域の高齢化で医療や福祉の負担も増え、高齢者施設の増設、介護サービスの改善を求める声も切実です。
 鶴岡では、医療生協、購買生協、高齢協、社会福祉法人の四者協議会が、介護事業を中心に「非営利・協同のまちづくり」をすすめてきました。この実践を生 かし、介護、福祉、損保、サービスなどの事業者が業種を越え、個別では実現できない諸要求を協力・共同して解決しようと設立したのが、事業協同組合・まち づくり協同組合『虹』。
 当面はケア付き高齢者住宅をつくり運営します。その後、食品加工や共同仕入れ、給食センターや地産地消のシステム研究、事務センターやコンサルティング なども構想中。松本さんは「住民要求の実現とともに、雇用拡大など、地域経済の活性化にも役立つ事業協同組合を土台に、各分野の協同組合や非営利セクター などとの協力・共同を強め、安心して住み続けられる地域づくりに挑戦する」とのべました。
 山田智代議員(福岡・みさき病院、医師)は、療養型小委員会と、デイケア交流会の経験について、報告しました。
 同県連はベッド数二二三七床中・医療療養九三九、介護療養一六六床と、療養病床がほぼ半数を占め、全国で最も多く療養型病床を持っています。
 療養型小委員会は県連高齢者医療福祉委員会のもとに立ち上げました。二カ月ごとの会議は、各病院のラウンドも兼ねています。(1)高齢者医療の実践の 場=療養病床の看護・介護の経験交流を行う、(2)看護・介護の質の向上をはかるため、民医連ならではの療養型病院機能評価の項目をつくり、相互評価を行 う、(3)福岡・佐賀ならではの療養型の経験を生かし「療養型マニュアル」をつくり全国に発信する、を目標にしています。
 デイケアが「大規模では利用者の個々の要望にこたえきれない」という問題に直面していたところでデイケア交流集会は、企画されました。ある事業所がつ くった経験~六〇人規模の大デイケアをグループ分けして運営し、解決しつつある~を、現地を見学しながら学ぼう、と企画されたものでした。このような交流 は、介護事業の質の向上につながる、と確信になっています。
 「療養型病床から退院できない患者さん、老健から退所を余儀なくされる介護度の低い利用者が増えている。市が公募した小規模多機能施設の開設を申し込 み、数倍の応募の中で勝ち取った」と報告しました。
 ほか、浅野敬子代議員(石川・老健手取の里、看護師)から、方針案に対し、介護系の職能団体への関わりなどについて、補強を求める発言がありました。

受療権を守るたたかい・平和

 藤田敏明代議員(北海道・十勝勤医協、事務)は「要介護者が税金の障害者控除をうけるために必要な認定書の交付を自治体に求めたとりくみ」を報告しました。 
 十勝社保協では、要介護者が税金の障害者控除を受けられるよう、認定書の交付を帯広市に求め、ねばり強く交渉し実現しました。これは代理申請でも交付さ れます。十勝管内二〇の全自治体で実施させ、同勤医協では、これを活用するための説明会と集団申請を実施してきました。
 藤田代議員は、「この成果は社保協と友の会、老人クラブ、町内会とも共同して介護保険の改善にとりくむなかで生まれたもの。運動として、介護保険改善の 陳情書用紙を帯広市内の二〇〇の老人クラブに毎年送付した。すると約四割から戻ってきた。それに諸団体の陳情書を合わせて市に提出し、交渉した。市独自の 保険料、利用料の軽減措置も実現させた。各自治体の議員にも働きかけ、協力を求めた。住民にはニュースで制度を知らせた」と話し、「税金の障害者控除は利 点がある。申請代行に、友の会もとりくんだ。全国でも活用を」と呼びかけました。
 武藤巌代議員(山梨・ますほ共立診療所、医師)は「職能団体に働きかけることの重要性」について発言しました。
 「二〇〇二年秋の大運動では、県内一六の医療関係団体に働きかけた。また県医師会長宅を訪問し、署名を依頼し、すべての地区医師会から二三三六筆の署名 を集めてもらった。また県医師会長に、民医連の医師総会で講演してほしいと依頼した。これは二年後に実現。県医師会長はあいさつに来て、『医療問題、特に 国民皆保険制度の堅持という点においては十分共闘できる。よろしくお願いします』と発言した。第三四回総会方針の『より開かれた民医連』の実践ともなっ た。今回の経験を通じて、他団体への働きかけの重要性を強く感じている」とのべました。

*   *

 このテーマでは、他に以下の発言がありました。島根・石飛育久代議員「戦争に反対する医療人の会の活動」。福 井・奥出春行代議員「職員教育への立場ととりくみ」。愛知・前田孝之代議員「イラクから招いた白血病の子どもの治療と二人の医師の研修を支援するプロジェ クト」。北海道・辻野末次代議員「イラク派兵をめぐる情勢と地元旭川における平和のたたかい」。長野・湯浅健夫代議員「長野県政の動向と在宅酸素療法の患 者実態調査をもとに対県交渉をすすめた経験」。大阪・前田元也代議員「西淀川区社保協でとりくんだ国保集団減免申請」。富山・寺跡勝代議員「福祉医療費助 成制度の現物給付を償還払いに変更する富山市長提案を市民の運動で中止させた教訓」。宮城・佐藤孝一代議員「気になる患者訪問で、地域に足を踏み出すこと の重要性」。

医師研修・医師問題

 澤田幸子代議員(北海道・勤医協中央病院、看護師)は、総合診療病棟の医師初期研修での、看護師の関わりを報告しました。
 病棟開設とともに、看護も「患者受け持ち制」に切り替え、日常的にミニカンファレンスを実施、「臨床倫理四分割法」を導入しました。「研修医との学びあ いで看護師自身も力量をつけている。初期研修を成功させるために、今後も患者から学ぶ姿勢を大切に、奮闘したい」と語りました。
 座波政美代議員(沖縄協同病院、医師)は、全国的にも注目を集めている同県内の臨研病院群プロジェクト「群星(むりぶし)沖縄」の立ち上げに参加した経験を報告しました。
 「多数の研修病院が、思想信条を乗り越え一致協力して、沖縄ひいては日本の明日の良き臨床医を育成する」が、コンセプトの一つ。公立、民間を問わず、管 理型病院六、協力型病院七、協力施設二、で構成されています。沖縄民医連からは、臨床研修センターの事務局長を派遣しています。
 座波代議員は「地域の医療社会がお互いに見えてきた。地域の医療機関と、様ざまな課題で協力しあえる芽が生まれた。また、初期研修を成功させつつ、県 連・地協レベルでの後期研修を充実させ、民医連の後継者養成の課題にもとりくみたい」とのべました。
 増田剛代議員(埼玉協同病院、医師)は、三五期全日本民医連医師部員として発言。「新しい医師研修制度の施行という日本の医師養成の重大な転換期に際し て、あらためて民医連医学対の本道に立った前進が重要になっている」と語りました。
 松本直弘代議員(東京・王子生協病院、医師)は、東京ほくと医療生協での研修医受け入れの経験を語りました。同法人では、二〇〇一年から毎年数人の研修医を迎えています。
 その要因のひとつが医師主導の医学対活動とともに、法人内の「北部東京家庭医療学センター」を中心にした家庭医療の押し出しです。それとともに、実習の 際に医学生に見せるのは、診療所やセンターだけでなく、病棟、指導医と研修医の関係、病院と診療所の連携です。二〇〇四年は管理型研修病院として史上初の 六人の研修医を迎えます。
 ※同センターは民医連内外の医師や職員が参加。「研究・教育を通じ、質の高いプライマリ・ヘルスケアを生協組合員とつくりあげ、さらに日本の地域医療の 民主的変革の一翼を担う」と、掲げています。
 山田昌樹代議員(埼玉・秩父生協病院、医師)は、県連でとりくんでいる「医師の人事評価と給与体系に関するプロジェクト」について報告しました。
 窪倉孝道代議員(神奈川・汐田総合病院、医師)は、方針中に、「医師不足報道」への民医連としての見解の補足を提案しました。
 また、藤末衛全日本民医連理事が、今方針が、医師問題を医師養成・研修とは別立てで「管理運営問題」と結合させた理由を、医師問題を院所のトップ機能が 責任をもつためなど、補足説明しました。

経営改善・歯科開設

 後藤芳枝代議員(大分健生病院、歯科医師)は、「全県に民医連歯科を」の方針を受け、今年七月の開設をめざし研修中です。新設歯科の役割と開設運動について発言しました(写真)。
 「歯周病治療に力を入れる、大分健生病院との密な連携、感染予防やインフォームドコンセントに最善をつくす歯科をめざしている。そのために、開設運動の 段階から、『歯に関心を持つ組合員さん』を増やそうと、懇談会・班会などを開催している。また歯科開設委員会に医科からも参加し、医師総会に歯科医師が参 加している。一人の歯科医でスタートし、五年後に三人体制化、臨床研修の指定を取得したい」と展望を語りました。
 高梨輝子代議員(京都・吉祥院病院、事務)は、二年連続で一億数千万円の赤字を出した病院で、事務長として経営改善と医療・福祉宣言づくりをした経験を発言。
 「収益確保チームと費用削減チームを立ち上げ、考えられることはすべて実践しようと、全勘定科目をチェックし、清掃業者など各業者と面談、価格交渉した。
 医療・福祉宣言づくりでは、院長をトップに実行委員会をつくり、個人宣言はパート職員も含め一〇〇%近い一三四人が作成。短歌、替え歌、詩、論文と、内 容も形式も様ざまだった。部門と事業所も、再度意思統一し、やり上げた。おりしも民医連攻撃が激しさを増し、当院の存在意義を確認する機会だった。「未来 をつくり出す、つまり赤字を減らそう」と呼びかけ、一〇カ月で前年同月累計一億五〇〇〇万円の赤字を二九六八万円まで圧縮した。勝負をかける二年間、『宣 言』を力に奮闘したい」とのべました。
 米林寛之代議員(北海道・道北勤医協、事務)は、職員総数・非常勤含め約五〇〇人、年間収益・約四〇億円の法人で、労組との協議によって「前払い制度に よる退職金制度改革導入」した経験を報告しました。
 「一九九八年に経営構造の転換に着手、一般・療養・介護を一対一対一に転換、介護分野も二〇%強まで拡大。五年連続一億円近い経常利益を確保し、二億円 余の累積赤字を改善してきた。しかし診療・介護報酬マイナス改定、税制改悪で現行退職金制度の維持が危うくなった。前払いによる退職金制度改革は、退職金 引当に対する多額な課税と、高額退職金が力量の限界を超える、との判断によるもの。この制度は、基本給の一カ月分を年に一度、一時金として支給し、退職時 にその累計額を、本来もらう退職金から控除するもの。当法人の場合、毎年一億円近い前払い分の退職金債務が減少し、多額な納税を回避できる。一七年間のシ ミュレーションでは、損益上で二・四億円、節税額で四・三億円の効果がある。欠点は多くの資金調達が必要なこと。そこで職員に共同基金への結集を呼びかけ た。これは職員の経営参加意識を高めた。職員を大切にする姿勢、経営改革に職員の主体的参加を求めることが大切」と発言しました。

管理運営改善・職員参画

 佐々木秀樹代議員(神奈川・川崎協同病院、医師)は、「再生」のとりくみが「病院を守る」段階から「攻め」に向かっていると報告。
 「(1)現場任せの医療と我流の管理運営の克服、(2)チーム医療の実践とコミュニケーションの改善、(3)職員が科学的な思考方法を身につけ、後継者 を育成する、を軸に再生にとりくんできた。特に新臨床研修開始に向け、指導の問題で、内科を中心に論議を深めた。毎日の病棟回診、指導体制の強化が決まっ た。また職種・世代を越えた論議で医療構想を練り上げた。若い職員のエネルギーがみんなの確信になった」とのべました。
 田中敏樹代議員(京都保健会、事務)は、事件以来ストップさせられていた中央病院の近接診療所と、綾部協立病院(三月から京都協立病院に)の新築移転が 許可されたことを報告。虚偽報告事件の問題解明、教訓化について発言しました。
 「医療管理、医師の責任、チーム医療が形骸化していた。元技師は『尿や喀痰の嫌気性培養は臨床的意味がない』と個々の医師に言ってはいた。組織的に発信 しない技師、医師集団の感染症医療管理上の弱点、知識不足が問題だった。病院管理者がこれを五年間もつかめなかった背景に、『民主的』の名のもと『部署の 合意・自発』での運営、管理の軽視があった。当初の危機管理にも失敗した。幹部は『組織事故』との認識が希薄だった。経営の深刻さが続いているが、改善の とりくみや病院機能評価受審などで、職員は変わろうとしている。患者や共同組織・地域からの評価も受けたい」とのべました。
 池田信明代議員(大阪・耳原総合病院、医師)は、三年後には再建を遂げる、と決意をのべました。
 「六年間、医療・経営構造の転換はじめ、現制度で可能なあらゆる施策を実施してきた。前倒産の主要因は長期にわたる赤字体質だった。院内感染を起こした 期を除き黒字にした。今年度は電子カルテ導入で人員を削減し、労組との協議で退職金規程を改定した。人件費の適正化、共同組織の強化、病院の建て替えなど が今後の課題。危機管理の連続に疲れたが、良くやったという実感もある。若い職員に夢と希望を引き継ぎたい」と発言しました。
 山内正人代議員(福岡・健和会、事務)は、民医連的再建にかかり一二年、二〇〇三年九月、戸畑けんわ病院(三〇〇床)を三五億円かけ新築移転したことを 報告。金融機関との粘り強い交渉の結果を述べました。
 「昨年、りそな銀行が公的資金注入で実質国有化され、健和会の債権は、再生勘定に移行した。五年以内に債務超過を解消する経営計画の提出を求められた。 会計士・弁護士の協力で計画書を作成、交渉に臨み、棚上げ金利約二八億円のうち二六億円余を免除にする手続きを完了した。また健和会の債権が不良債権とし てバルクセールにかけられ外資系に譲渡された。債権回収会社と交渉し、約四億円まけさせた。一九九二年度の自己資本比率は気の遠くなるような▲一九〇% だったが、二〇〇三年度は▲一八・九%に改善した。今後は民医連運動の総合的な実践で前進したい」と発言しました。

共同組織・民医連攻撃とのたたかい

 稲元郁代代議員(石川・羽咋診療所、事務)は共同組織とともに介護・福祉分野に踏み出した経験を報告しました。
 「診療所と友の会で『福祉事業検討委員会』をつくり、地域の要求をさぐり、議論を開始した。ケアマネジャーから高齢者の実情を聞き、移送、配食、ボラン ティア、施設づくり、をキーワードにし、まず移送と配食サービスを始めた。ボランティア活動を強め、地域社保協も結成し、行政への要求活動も活発になっ た」と発言。
 グループホームづくりは、ある会員さんが「痴呆の高齢者が安心して住める家をつくって」と土地の提供を申し出てくれました。共同組織と診療所が同じテー ブルで理念や経営問題などを話し合い、建設費用の三分の二、三六〇〇万円の共同基金を集め、開設にこぎつけました。
 移送サービスは、現在二五三人が利用、月六三七回(今年一月実績・最近は一日五〇件を超える)。他院への通院や買い物に利用され、サービスを希望して友 の会員になる人も増え、新班結成につながっています。また、移送車の中で困りごと相談や医療・福祉の要望が出され、役員が相談にのっています。直接友の会 に相談に来る人も増え、二世帯が生活保護受給に結びつくなど、会員が日常的に助け合う芽が出てきました。
 稲元代議員は「助け合いや施設づくり運動は、共同組織を質的に発展させた。今後の課題は、職員集団の共同組織への参加と、郡内で一割の共同組織になること」と発言しました。
 吉田万三代議員(東京・蒲原歯科診療所、歯科医師)は、民医連攻撃とのたたかいについて発言。
 「東京でも様ざまな民医連攻撃がされている。選挙時期や、病院・診療所・介護施設などの建設運動がすすみはじめると、必ず妨害や民医連攻撃がおこる。環 境問題などの住民運動を装う反対運動もあるが、主には『民医連の施設が政治活動や政党活動の拠点になる』といい、議会の多数を使って、首長に圧力をかける もの。ひどい例では建設補助金を出す条件として、『政治活動をやらない』という誓約書を求めるものもあった」とのべました。そして攻撃をうち破るのに必要 なことは、(1)住民と力をあわせ、その支持のもとで建設などの運動をすすめる。(2)道理ある議論を構築する。行政側が判断上重視するのは、法令上の根 拠、前例の有無、公平性、の三点、と指摘しました。
 また、「攻撃する側は『政治活動』と『政党活動』を混同し、民主主義を理解していない。医療改悪反対や、介護保険改善運動などは、すべて政治活動だ。主 権者の住民が『選挙が終わったら、後は議員や首長に黙って従う』というのは、民主主義としては不健全だ。必要に応じて、住民が意見を表明し、行動してこそ 民主主義が豊かになる。この点は、行政も、攻撃する側も否定できない重要なポイントだ。積極的な政治活動は評価されるべきで、ひるむ必要はない。自主的な 政党活動は、広い意味で政治活動であり、その権利、自由は保障されるべき。不当な民医連攻撃をうち破ろう」と呼びかけました。

経営困難組織支援規定

 木内和芳代議員(山梨勤医協、事務)は第六号議案「経営困難組織支援規定」に賛成発言。
 「山梨勤医協は全日本民医連から一億四〇〇〇万円の緊急融資を受け、平行して甲府地裁への和議申請を行った。この融資は甲府地裁の和議認可を有利に導い た。『人・物・金』の三つの支援を受け、山梨の再建が可能になった。この支援規定は、初期の対策を打つ有効な方法だ」とのべました。
 中屋重勝代議員(神奈川・川崎医療生協、事務)も、危機に際して民医連から受けた支援の経験から、「経営困難組織支援規定」に賛成を表明しました。
 「当医療生協の経営危機は、センター病院の川崎協同病院の赤字に端を発し、診療所用地取得に銀行が融資を渋り、手持ち現金を当てたため、一気に表面化し た。月の収益が約六億円、年間収入七〇億円の規模で、現預金残高が二億円を割る事態になった。事件の公表後で、資金ショートの恐れがあり、職員と組合員に 緊急増資を呼びかけた。短期間に一億円を結集したほか、神奈川県医療事業協同組合が、定款変更し金融業を事業内容に加え、六〇〇〇万円を融資し、危機を回 避した。県医療事業協の資金貸し出しは、他の法人の資金不足の危機にも役立った」と、緊急資金援助の大切さについて発言。
 『経営困難組織支援規定』には、対策委員会の設置や情報の提供、人材派遣、資金の貸し付けなど具体的な対策が盛り込まれている。これは、川崎の危機の際 に実際に打たれた貴重な支援だった。有効であり、加盟組織にとって大きな負担とならないよう提案されている。神奈川民医連は、全国連帯基金へ資金結集する 具体的方法について検討を終え、対応する準備をしている」と発言しました。

(民医連新聞 第1328号 2004年3月15日)

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