いつでも元気

2023年12月29日

青の森 緑の海

2022年1月 奄美大島

 冬になり気温が下がると、奄美大島の渓流や海岸には、リュウキュウアサギマダラが集まる。“旅する蝶”として知られるアサギマダラの仲間だ。羽を広げると8cmほど。冷え込んだ日ほど集まるので、体温を少しでも温存しようとしているようにみえる。
 アサギマダラは日本を縦断し、1000km以上も旅をする。鳥とは違い力強い印象はないが、体の軽さを活かし、風に飛ばされるようにヒラヒラと目的地を目指していく。
 一方、主に南西諸島で見られるリュウキュウアサギマダラは、ほぼ1年中、島で暮らす。なぜ、よく似た種で旅をしたり、しなかったりするのか理由は分かっていない。幼虫の時に毒草を食べることで体内に毒を蓄え、天敵に狙われにくいようにすることは両種に共通している。
 リュウキュウアサギマダラはマダラチョウのなかでも浅葱色(浅黄色)が美しい。森に彼らがいると、どことなく空気が変わる気がする。1年から2年ほどでいのちを終えるチョウの仲間。冬を越えることは、きっと、とても大切なことなのだろう。


【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、一貫して沖縄と琉球弧から人と自然の
いのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。写真集の購入はホームページまで。
http://www.shinyaimaizumi.com/

いつでも元気 2024.1 No.386

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