民医連新聞

2024年2月6日

給付型奨学金や学費負担の軽減で学ぶ環境の改善を 京都・近畿高等看護専門学校

 学費の負担や生活が困窮するなか、看護学生も奨学金利用やアルバイトでしのぎながら勉学を続けています。京都・近畿高等看護専門学校の自治会の学生を取材しました。(長野典右記者)

深夜3時に課題

 2年生の長(おさ)友奈さんは、再び看護師をめざし、看護学校に再入学しました。現在は実家から通学していますが、2つのアルバイトで月に10万円の収入で、帰宅は夜11時半になることも。以前通っていた専門学校の学費(貸与型奨学金)も返済している状態です。今年から実習が始まると課題の提出は困難になると不安を隠せません。看護学校を選ぶ時、最初に目が行くのは学費だといいます。
 同じく2年生の宮廻(みやざこ)凜さんは、実家を離れアパートを借りて通学しています。アルバイトをかけもちし、定食店のアルバイトは100円出せばまかないの夕食が出ることで助かっています。帰宅が遅くなると、明け方3時に起きて課題をこなすこともざらにあると。感染対策として、実習が始まる2週間前からアルバイトは禁止されることや、市バスを乗り換えると、初乗り運賃がかかり、1日の交通費が920円にもなることも「頭のなかでは食事代に置き換えて考えてしまう」とのこと。余暇を楽しむことができず、自分の時間もつくれません。

アルバイト4つも

 多くの学生に共通していることは複数のアルバイトをしていることです。なかには4つのアルバイトをかけもちし、朝5時からコンビニでアルバイトをして授業に出て、授業が終わるとそのままアルバイトに行く人も。公共料金の高騰もあり、生活費を節約するために暖房は入れず、厚着で過ごすことや、お風呂のお湯を節約している学生もいるといいます。
 複数の奨学金を利用したり、上限額を貸与したりする学生が増加しています。また親の収入に左右される現行の奨学金制度は、利用しにくいとの声もあります。

要求で食糧プロジェクト

 昨年11月11日の京都いっせい行動の日、自治会は阪急の西院駅前で、看護学生の現状と高等教育無償化を求める署名活動を行いました。1年生から3年生までの学生8人が参加し、訴えました。初めてマイクを持って訴える学生もいて、高校生や大学生が多く利用する駅なので、同世代の学生が署名に応じてくれました。
 また自治会では、食糧プロジェクトを提案。昨年12月21日の授業終了後に第3回を行いました。空腹を満たすお米の提供は助かる、との声が学生からあがりました。

政治に関心を

 2022年4月の京都府知事選では、在校生に選挙への関心をもってもらうためにシール投票を実施しました。「学費を半額か無料」「最低賃金を上げてほしい」など、多くの経済的な支援の要求が集まりました。
 今年2月の京都市長選挙に向けて、看護学生などに対し高等教育の負担軽減に向けた市独自の制度が実現するように、自治会として運動にとりくんでいます。
 国は学費の無償化や給付型奨学金制度の拡充など、少しでも学ぶ環境を整えることが必要です。

(民医連新聞 第1799号 2024年2月5日号)

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