民医連新聞

2024年4月16日

議会に私たちの声は届いている? 山梨民医連看護委員会の県議会ウオッチャー

 山梨民医連看護委員会は昨年、管理者研修に県議会ウオッチャー(県議会傍聴)を位置づけました。これまでに、県連内各事業所から49人の看護管理者が参加。さらに傍聴した若手師長らが中心となり、子どもの学校給食費無料をめざす、身近な要求運動も展開しています。めざましいとりくみの秘訣(ひけつ)を、甲府共立病院で聞きました。(丸山いぶき記者)

 「議会を一度でも見れば、投票しちゃいけない人は明らか」「知事の態度はパワハラじゃない?」「まっとうな質問に答えないから、私たち県民がバカにされていると感じる」「うちの師長会の方が民主的」「推し(=応援する)議員たちは、議論の質も比較にならないほど良い」「話し方も声もいい。イケメンボイス!」
 4月1日、甲府共立病院の会議室に、看護師長らの明るく、楽しく、パワフルな政治談議がひろがります。

出発点には怒りが

 「コロナ禍でたくさんのいのちが失われ、私たち看護師も苦しい、大変な思いをしてきた。それなのに世の中はオリンピックだ、Go Toだと、いのちより経済優先の政治。怒りとともに目の当たりにしてきた」。そう話すのは、看護委員長の望月富士穂さん。
 看護委員会では昨春、初めて県議会を傍聴した県連事務局長の村松裕子さん(看護師)が「あまりにも医療・介護のことが議論されていない」と報告していました。
 そんななか、昨春の統一地方選挙で、同県連の現役職員が県議会議員に当選。「長年、友の会や社保担当として、平和運動にも尽力してきた仲間を応援したい。私たちの怒りの声を、県政に届けてほしい」。そんな思いもあり、看護委員会は「看護管理者自らが政治への関心を高め、自分たちの要求がどのように政治に反映されているか、県民目線で学ぶ」との方針を掲げ、管理者研修に県議会ウオッチャーを位置づけました。

工夫を凝らした研修

 県連は県議会から徒歩5分という好立地。ただ、研修に議会傍聴を位置づけたのは、県連初です。平和や政治について考えることを重視して研修を組んできた看護委員会事務局も、県議会のことはよくわかりません。そこでまず、6月定例議会を事務局メンバーで傍聴。さらに元職員でもある元県議会議員に協力を求め、学習DVDを作成。県議会の仕組みや傍聴の作法、見るべき点を事前に学んでから傍聴に臨むことにしました。
 県連内、介護事業所を含む全師長の参加を目標に、9、12、2月の定例県議会に師長名簿を振り分け。2週間前に告知される議員の一般質問日に合わせて研修日を決め、勤務調整をしました。
 傍聴後は県連に戻り、参加した師長らで感想・意見交流するグループワーク。政治的な話は少し苦手な師長も、率直に思いを語る姿がありました。師長会での参加者の熱のこもった報告も、次に続く師長らの参加を後押ししました。

政治がぐっと身近に

 傍聴するのは、毎回2人の議員の質問としています。
 「それがすごく大事だった」と話すのは、研修に参加した新田瑶子さん(病棟師長)。知事とのエール交換(ほめ合い)で終わる与党議員、ケンカのような言い合いに貴重な質問時間を使う野党議員がいる一方で、地元の声を知事に届け、データで根拠を示して、県の富士山登山鉄道構想に反対する推し議員の姿を見ました。「共立病院が言うことは偏っていると思う職員もいるけれど、自分の目で見ると、やっぱり他と全然違う。政治家に誰を選ぶかは本当に大事」と強調します。
 武藤有香さん(病棟師長)は「県側は決まりきった答弁をくり返すばかりで、とても残念な気持ちになった」と言います。少子化対策に婚活コーディネーター2人を雇ったという県の政策にもがっかり。「地域で子育てをする母親として、大事なのは今の生活。生活の不安を取り除くのではなく、しかも個人を尊重せず、無理やり結婚をあっせんすることに税金を使うなんて」と憤ります。
 そんな新田さんと武藤さんが、ともに3人の子どもを育てるママとして、昨年8月に仲間と立ち上げたのが、「学校給食無料にしよ~よ!」の会です。甲府共立病院の職員を中心に、地域のママ友と協力してアンケート調査を実施(119人が回答)。9割以上が給食費の支払いに負担を感じていました。その声とともに、昨年11月に学校給食費無償化を求める要望書を知事あてに提出。今年2月以降で2000筆以上が集まる署名運動にも発展しています。

(民医連新聞 第1804号 2024年4月15日号)

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