いつでも元気

2008年3月1日

カムカム健康法(27)/入れ歯(義歯)のはなし(3)

江原 雅博(愛知・みなと歯科診療所)

 今回は義歯の「手入れ・管理の仕方」についてのお話をしましょう。

手入れのポイントは
(1)食事の後ははずして、専用の義歯用ブラシで洗いましょう。歯を磨くための歯磨剤(歯磨き粉)は義歯をすり減らしますので使用しないでください。
(2)夜間は原則としてはずしましょう。熱湯や乾燥で変形しますので、専用の義歯容器に水を入れて保管してください。
(3)義歯の金具がかかっている歯は、非常にむし歯や歯周病にかかりやすいので、義歯をはずしてよく磨きましょう。
(4)粘膜の形が変わったり、義歯が擦り減ってきますので、半年に一回は定期的な診査が必要です。
(5)あわない義歯を無理して使っていると、残っている歯や粘膜を痛めることがあります。

義歯洗浄剤は使いすぎない
 日がたつと義歯のプラスチックには、歯石や茶渋、たばこのヤニなどが付着してきます。市販されている「義歯洗浄剤」には、義歯をきれいにし、においをと る効果があります。ただ、これには必ず漂白成分が入っており、着色をとる半面、入れ歯のピンク色の色素を脱色させることがあります。熱湯などで使用すると なおさらで、入れ歯の強度を損ないかねません。
 洗浄剤は適度に使い、どうしても汚れがとれない場合は、歯科医院できれいにしてもらいましょう。

義歯安定剤をすすめない理由
  義歯安定剤は、均等にうまく塗れないと義歯が安定せず、少しでも分厚く塗られた部分に強く圧力がかかります。そのためかえって義歯が不安定になりガタつい てしまいます。そのまま長期間使用すると、顎の骨が減ってしまうこともあります。
 また、安定剤は汚れやすく、義歯と粘膜のすき間に入り込んだ汚れはカンジタ菌の絶好のすみかになり「義歯性口内炎」にもなります。説明書どおりこまめに取り替えて使用しなくてはいけません。
 総義歯など吸着が弱いものに限り、歯科医と相談して使用するのはいいと思いますが、それ以外は義歯が割れてしまった場合など、一時的に使うだけにしましょう。なるべく早めに歯科医院を受診してください。

あわなくなったら相談を
 「この入れ歯を二〇年も使っている」という総義歯の患者さんに出会うこともあります。しかし、このような方は珍しく、多くの患者さんは何回も義歯を作り替えています。
 バネをかけている歯が抜け、義歯の形や大きさが変わったり、修理しても何回も義歯が壊れたりするためです。歯のない部分の骨が減ってきて安定が悪くなる場合もあります。
 あわない不自由な義歯を長く使っているより、まず歯科医に相談しましょう。

いつでも元気 2008.3 No.197

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