Dr.小池の世直し奮戦記

2008年7月1日

Dr.小池の国会奮戦記 世界中で穀物の不足が深刻化 日本の農業政策を転換し自給率アップへ

 世界中で小麦や米、トウモロコシなど、穀物の不足が深刻化しています。国連世界食糧計画(WFP)のシーラン事務局長によれば、世界人口の7人に1人にあたる8億5000万人が「飢え」に苦しんでいます。世界各地で食料を求める暴動まで起こっています。

投機マネーとバイオ燃料

 穀物不足の背景には、いろいろな理由があります。「ぬれ手に粟」をもくろむ「投機マネー」が穀物市場に流入し、価格を引き上げていること。投機マネーが 原因で原油価格も高騰し農業の生産コストが増大したこと。地球温暖化による深刻な干ばつの影響。発展途上国での人口の激増。
 そして見逃せないのが「バイオ燃料」ブームです。バイオ燃料というのは、石油に変わって植物などからつくる燃料で、トウモロコシやサトウキビ、木材などが原料となります。
このブームに火をつけたのは、アメリカのブッシュ大統領です。バイオエタノールの生産拡大を呼びかけました。イラク戦争の失敗で、中東からの原油依存を切りかえようというねらいもあるようです。
 この結果、人間の食料となるべきトウモロコシが、車の燃料に奪われる事態になっています。また、バイオ燃料の増産で、米国では遺伝子組み換え農産物の比 率がどんどん高まり、組み換えなしの農産物を日本は買うのがむずかしくなっています。

日本の自給率はたった39%

 これまで自民党政府は、国内農業を育てることを放棄し、「食料は外国から買えばいい」と輸入頼みを続けてきました。その結果、日本の食料自給率は39% にまで低下しています。米国は128%、フランス122%、ドイツ84%、英国でも70%ですから、日本の低さはとびぬけています。
 ある人の発言を紹介します。「食料自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」「食料自給は国家安全保障の問題であ り、それが常に保障されている米国はありがたい」。発言の主は、ブッシュ米大統領です。
 そして「米国国民の健康を確保するために輸入食肉に頼らなくていいのはなんとありがたいことか」。これはブラックジョークにも聞こえますが、自国の食料 は自国でつくるというのは、ブッシュ大統領にいわれるまでもなく世界の常識です。
 これまで食料を輸出してきた中国やロシアなども輸出制限をはじめています。このままでは、海外から「買えない」時代になりかねないのです。

農業予算は軍事費の半分!

  こんなとき、「減反」などで生産を抑え、中小農家の補助金を打ち切り、不必要な米の「輸入」までおこなう日本の農政は、世界の流れにも日本国民の願いにも背を向けるものです。
安全な食料は日本の大地から。外国頼みの輸入自由化路線をあらため、食糧自給率をすみやかに50%台にまで回復させる。軍事費の半分以下の農業予算を増や し、やりたい、続けたいすべての農家を応援する。日本農政の大転換が必要です。


■こいけ・あきら 1989年東北大卒業後、東京民医連で小豆沢病院、代々木病院などに勤務。内科医。1996~2004年全日本民医連理事、1998年から参議院議員。

いつでも元気 2008.7 No.201

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