声明・見解

2008年4月11日

【抗議声明2008.04.11】臨床研修病院削減・募集定員数抑制政策に対する

2008年4月11日
全日本民主医療機関連合会
会 長  鈴 木  篤

「2年以上研修医の受入がない」病院の指定取消しと、「研修病院の新規指定を行わない」ことは臨床研修改善にも医療現場の矛盾の解決にもむすびつきません

 「医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令」(以下、省令)、および「医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について」(以下、医政局長通知)が3月26日に「改正」され、各都道府県に通知されました。
 「省令」では、臨床研修病院の指定の取消し要件に、新たに「2年以上研修医の受入がないとき」が追加され、「医政局長通知」では、その上に「原則とし て、当分の間、臨床研修病院の新規指定及び研修医の募集定員の増員は行わないこととする」ことが明記されました。
 今回の「改正」の目的として研修プログラムの質向上がうたわれていましたが、一部に、地方の医師不足の解消を大学の医師供給機能の回復に求める意見があ り、結局は、既存の臨床研修病院と募集定員数を抑制することが優先される内容となりました。全日本民医連は、地方の医師不足を問題にするのであれば国が医 師の絶対数を増やす決断をし、そして、地方の研修病院の充実のための措置を講ずるべきと考えます。2年以上研修医の受入がない病院の指定を取消すことは、 むしろ地方の臨床研修病院の数を減らすこととなり、地方の医師不足を助長することにつながります。また、指定基準を満たせばすべての病院が認定されるとい う新臨床研修制度の根幹を曲げてまで、当面の指定をしないといった姑息な方法をとるべきではありません。しかも、一編の「医政局通知」によって一方的にお こなうやり方は、ルール違反と言わざるを得ません。
 そもそも、厚生労働省が国公立、民間を問わず広く現場の医療機関の力を引き出し、医師養成を担わせるという方針で出発したからこそ、短期間に新制度が軌 道に乗ったのだと考えます。新制度の本旨からすれば、新たに医師養成に挑戦しようという医療機関は歓迎すべきであり、そのエネルギーを削ぐような方針は不 適当と思われます。研修の改善を言うのであれば、よりよい医師研修をめざし、優れた臨床医を多く輩出できるようにプログラムの審査、改善、財政的援助こそ すべきと考えます。
 以上の理由から、新たに指定の取消し要件とした「2年以上研修医の受入がないとき」及び「医政局長通知」による「原則として、当分の間、臨床研修病院の 新規指定及び研修医の募集定員の増員は行わないこととする」ことの撤回を求めます。

以上

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