いつでも元気

2009年1月1日

新連載 認知症をわかりたい(1) ある日の「講座」をのぞいてみた 協力:京都市左京南地域包括支援センター

ほっと介護(82)

■認知症の方は全国に一六九万人存在し、二〇年後には倍増するとみられています。認知症の人を見守れる人を増やそうという講座も各地で開かれていますね。このページでは、みなさんといっしょに、ある日ある場所でおこなわれた講座をのぞいていきます■

年をとればなるのか?

genki207_05_01 「認知症」とは、どんな人だと皆さんは理解していますか?

(会場から)「正しい判断や、ものをしっかり覚えることができなくなる」
 はい、そうですね。では年をとれば、みんなそうなるのか? そうではない、認知症は、脳の病気なのです。では脳が病気にならなければ、一〇〇歳になって も認知症にならない? どう思います? 私には一〇四歳になるおばあちゃんがいます。いまでも新幹線に乗り、大好きな大好きな市川海老蔵さんの歌舞伎をみ に、東京にいったり、ひ孫たちといっしょにディズニーランドにいっています。ディズニーランドでは、スタッフのお姉さんに車イスを押してもらい、ミッキー とミニーが左右についてくれる。乗り物は待たずに乗れる。残念ながら、おばあちゃんが乗りたいスプラッシュマウンテンという乗り物は「おばあちゃんの心臓 が止まるかもしれません!」と、ミッキーとミニーが必死に止めるから乗られへんのですが(笑)。チャレンジ精神も旺盛で、携帯でメールを打ったりします。
 つまり、年齢に必ずしも関係ないのが認知症なんです。確かに九〇年も一〇〇年も使った脳は、かなりくたびれています。ミッキーマウスという名前が思い出 せないおばあちゃんは、「ねえ、ネズミに会いに行きまひょ」という(会場笑い)。でも、私たちには「ああ、ミッキーマウスのことね」と伝わります。

脳の病気がひきおこす

 かなりくたびれた脳だから忘れやすいし、すぐに思い出せないことがある。でもそれは認知症ではありません。時計でも、車でも、エンジンがかかりにくくはなるけれど、壊れなければ動くように、病気にならなければ、認知症にはならないんですね。
 逆に、脳が病気になれば、たとえ年をとらなくても、認知症になることがあるわけです。体の活動のすべてをつかさどり、指令を出している脳の細胞の一部が 死んでしまったり、働きが悪くなれば、いろいろな障害が起こり、生活する上で支障が出ます。その脳の病気には、種類があります()。
genki207_05_02 いちばん多いのが、脳の神経細胞がゆっくり死んで、脳が萎縮する「変性疾患」です。アルツハイマー病などがこれに該当します。
 次に多いのが脳の血管の病気「脳血管性認知症」です。脳の血管が詰まったり破れたりして、神経細胞に酸素や栄養が届かなくなり、神経細胞が死んだり、神経のつながりが壊れてしまって起きます。
 大きくわけて、そういうことがあります。ここまでお話したのは、「認知症は脳の病気です」ということです。
(写真はイメージです)

 

いつでも元気 2009.1 No.207

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