いつでも元気

2009年3月1日

認知症をわかりたい(3) ある日の「講座」をのぞいてみた 協力:京都市左京南地域包括支援センター

ほっと介護(84)

■認知症は全国に一六九万人存在し、二〇年後には倍増するとみられる病気です。認知症の人を見守れる人を増やそうという講座も各地でおこなわれていますね。このページでは、みなさんといっしょに、ある日ある場所でおこなわれた講座をのぞいていきます■

認知症の「わたし」の願い

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(写真はイメージです)

 さて、一度目を閉じて想像してみてください…みなさんは認知症になってしまいました。
 「なんでやねん、どうしたらいい」むちゃくちゃ不安ですよね、誰に相談しますか? 誰に助けを求めますか? ゆっくり考えて。
 「私、昨日までできてたことができへんようになった。どうしたらエエ? まわりは何もいうてくれへん」
 はい、目をあけて。そういう時は、どうしてほしい?
(会場から)「優しく接してほしい」
 そういうことですね。「自分をわかってほしい」「あたたかく見守ってほしい」つまり、自分の状況を誰かにきいてほしい。「どうしよう、私、こんなんできへんようになった…」
 もうひとつ大事なこと…私も自分の旦那さんにはなかなかできないですが、「怒らないでほしい」。自分がしたことについても「違うやん、それは!」なんて、ばかにしないでほしい。
 また、思い出す手がかりが欲しい。「これならできるかな?」「これなら覚えていらっしゃいますか?」という接し方をしてくれたら、自分で思い出す手がかりになりますね。
 説明もゆっくりしてほしいです。「おばあちゃん、どうしました? 困ってますの?」と、ゆーっくりと。おばあちゃんの耳、九〇年も一〇〇年も使って、だ いぶんくたびれています。ワーっと話をされたら、何をいわれてるのかさっぱりわからない。ゆっくり話して、ゆっくり説明してほしい。
 つまり、今の自分を、認知症になった自分のありのままを、受け止めてほしいわけです。
 この間までの、何でもできる自分じゃなく、いろいろできなくなったけれど、いろんなことがわからなくなったけれど、「わたし」という人間には変わらない のだから、ありのままを理解してほしい…これが、認知症になった人と、そのご家族にとって、いちばんの安心になります。

進行を遅らせるために

 認知症は進行を遅らせることができる場合もあります。
 病気の程度にもよりますが、急速に忘れてしまうのではなくゆっくり忘れてゆくために、私たちにできること。それは、認知症になった方がどんなことがわか らなくなったか、何がわからず困っておられるのかということを知ることです。毎日がどんなに不安で、不安定な状態なのかを理解して、サポートしてほしいと 思うんです。
 「認知症になったら、何もできなくなる、わからなくなる」ではなくて、できる力、残っている力、いまある力を生かそうとすることが大切になってゆきます。
 さて次回からは、お芝居じたてで認知症を学んでゆきましょう。

いつでも元気 2009.3 No.209

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