いつでも元気

2009年4月1日

後期高齢者医療制度 巣鴨で“緊急アンケート” 1年たっても街の声は反対342票、賛成12票

 七五歳以上を対象にした「後期高齢者医療制度」が開始されて、まもなく一年。昨夏、参議院で可決した廃止法案は店ざらしのまま、国会での審議も中断。
 国民はどう思っているのでしょうか?

私も私も…数分でできた人だかり

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私も私も…、シールをはる人が次つぎ

 「これは街の声を聞くしかない!」―編集部が向かった先は、とげぬき地蔵への参拝客でにぎわう東京・巣鴨の地蔵通り商店街。「おばあちゃんの原宿」ともいわれ、連日、元気なお年寄りが集まる人気スポットです。
「後期高齢者医療制度」についてどう思うか、「賛成・反対」のシール投票をよびかけました。この日は、前日に六回目の年金天引きがあったばかり。アンケートを呼びかけると数分で人だかりが…。
「俺は大反対だよ」と、勢いよくシールをはっていった八六歳男性。後期高齢者の保険証がきて、「お前はもう用ナシだ、早く死んじまえ、と宣告されたような気分。黙っちゃいられないよ!」。
二月末で七五歳になるという女性は 最近、役所から「速達」で通知が届きました。「いままで息子と一緒の国保に入っていたが、今度からは外される。普通は七五まで歳をとり、おめでとう! と いわれてうれしい気分になるものでしょ。きっぱり差別化されたと感じる」と。「個人でかけていた保険を解約しなければ、やっていけない。保険料に利用料… とるだけとって、役所はほんとに抜け目がない」
「保険料はちゃんと書きつけている んだ」と手帳を見せてくれたのは八二歳男性。「おととしの国民健康保険料は、女房と二人分で一七万四五九九円だった。それがこの制度になって、二三万一四 〇〇円になった。介護保険料も一万円が一万三〇〇〇円に上がったんだよ。負担は変わらないなんて、ウソばっかりだ」

若い世代も「異議あり」

手をつないで歩いてきたカップルも「反対」に投票。二〇代でなぜ? と聞くと、「私たちヘルパーなんです。お年寄りの話は切実なので」と。
また、小学生の女の子二人組は、「おばあちゃんが通院していて、保険料と治療費が大変になったっていってた」と、仲良く反対にシールをはっていきます。
「いつ年金から天引きされたのかわからない」(八〇歳男性)、「いろいろ細かく書かれているけど、制度が難しくて…」(八三歳女性)といった声も多数。
「行きも投票したけど帰りも」とい う、七三歳の前野千代さん。「二度はった理由? 許せないんだもの!」とご立腹。夫が七九歳の「後期高齢者」。夫婦の保険が分かれ、月八〇〇〇円だった保 険料が、夫婦あわせて一万二一〇〇円に。世帯収入は夫の厚生年金だけ。病気がちで足の悪い千代さんには通院が欠かせませんが、「三月は受診を控えるつも り」と話します。医療費の窓口負担分が厳しいため、年金が出る月だけ通院。「まもなく自己負担も二割になる、お薬をためておこうかしら…」

反対は圧倒的、怒りは強まる一方

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 シール投票をしてくれた人は、一時間で三五〇を超えました。結果は「賛成」一二、「反対」三四 二。賛成にはってあるのをみて、「こんなひどい制度に、賛成の人なんかいるのねー」と文句をいっていく人も。やはり反対は圧倒的。怒りは台紙の枠におさま らず、欄外にはみ出してしまいました(写真)。
 国民の怒りは強まる一方、いのちに関わるこの制度をこのまま放っておくわけにはいきません。醜態をさらし、何の手だても打てず右往左往している政府。 「いまこそ政治転換のチャンス」、「廃止」を求める声をひとまわり、ふたまわりと広げるときです。
文・井ノ口創記者/写真・酒井猛

 

いつでも元気 2009.4 No.210

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