民医連新聞

2004年5月3日

バス停が誕生 伊那生協診療所前 町政動かし路線も改善

 伊那生協診療所がある、長野県上伊那郡箕輪町。四月一日から巡回バスの路線や本数、停留所が増えました。なんと!! 診療所の玄関前 にバス停ができ、患者さんにとても喜ばれています。「巡回バスを利用しやすく」と、町政を動かす先頭に立ったのが、診療所の社保・平和委員会のみなさんで す。(荒井正和記者)

 「最終の巡回バスに間に合うよう、透析の開始時間を早めてもらいました」。うれしそうに話す、後藤きくみさん(66)。週三回、透析に通っています。タクシーを使うと片道一七〇〇円かかるため、これまでは農業を営む夫が仕事を早く切り上げて、迎えに来ていました。

 箕輪町では以前から、交通手段が問題になっていました。従来のバス路線は三つとも、町はずれにある振興公社が運営する温泉施設を中心に組まれ、生活に関 わる店舗や医療機関などは通りませんでした。運行日も偶数日、奇数日となっていて、「利用しにくい」という声がありました。

 二〇〇三年三月、町は巡回バスの改善に足を踏み出しました。町長が交替したのです。

町長候補に質問状

 町長選は、前年の一一月に行われました。診療所の社保・平和委員会では、患者さん、組合員さんから、「町長に実 現してほしい医療、福祉、暮らしに関するアンケート」をとりました。その結果を、二三項目の「公開質問状」にして、二人の候補者に出しました。すると、一 人の候補者は、「巡回バスの改善を含め、九項目についてすぐにでも実施したい」と回答を寄せました。その他の項目にも前むきな回答であり、上伊那医療生活 協同組合としても支持を表明しました。この候補者が現職を破り、当選。新町長の誕生です。

 町は広報で、巡回バスへの意見・要望を募るとともに、巡回バス見直し検討委員会を発足させました。
 社保・平和委員会も独自に、透析、外来患者さん、デイケアの利用者さんや組合員さんなどから巡回バス改善アンケートをとりました。その中には、「毎日バ スを通して下さい。バスが毎日通ったら、車のない私たちはものすごく幸せです。新町長さんよろしくお願いします」などの書き込みがありました。また委員会 は家族で、休日などに巡回バスに乗ってみました。

行動したから

 この調査で、「町内を安い料金で移動できる点では、巡回バスは歓迎されている」「バスを乗り降りする時に、運転 手さんが細かく気配りして親切」、しかし「診療所からバス停までが遠く、高齢の患者さんには不便」などがつかめました。これらを要望書にまとめ、町の担当 者と懇談しました。

 これを受けて、町からは、「診療所前にバス停を設置したい」との要請が来ました。また、巡回バスの路線を増やし、平日は毎日運行すること、車イスに対応 する低床バスの導入も決定しました。そして、二〇〇四年四月一日、待ちに待った巡回バスの第一便が診療所前に到着しました。

 「みんなで行動したら、行政を動かすことができた。これが実感できたのが大きいです」と、委員会のメンバーは強調します。「巡回バスの次はどんなことにとりくもうか」と話が弾みます。

(民医連新聞 第1331号 2004年5月3日)

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