民医連新聞

2004年6月7日

新医師臨床研修だより(1) 大手町病院(福岡)

1年目から救急医療に厚い指導体制のもと

 新医師臨床研修制度が4月から始まりました。民医連も44研修病院が、164人の研修医を受け入れ、各特色を生 かした研修をスタートさせています。福岡・大手町病院では、8人の新医師が3週間の導入研修を終え、救急医療を軸にした本格的な研修に臨みます。(小林裕 子記者)

 「何をやっても楽しい。どんどん賢くなっている感じ」。内科病棟に配属になり3日目の大城雄亮(おおしろゆうすけ)医師は、自分をこう表現しました。沖 縄県出身で外科志望の大城さんは「救急医療を勉強したい」と、同院に入職しました。患者としっかりした関係をつくれることも目標にしています。

 「整形外科をやりたい」という山川慶(ちかし)医師も、「救急搬入の数が多くて、1年目から救急医療を経験でき る。それに多くの人がかかる疾患に精通したい」と、入職。早くもアルコール症の患者を担当し、「わがまま言われても平気なほど、いま気力が充実している」 と言います。

 2人が期待するように、同院は「救急医療」研修に力を入れています。1年目から、スーパーローテートで3~6カ 月単位に各科に所属しながら、救急外来に昼間週2単位、夜間当直にも入ります。救急の指導体制は、昼夜を通して、1年目医師1人に対して、2~3年目医師 が複数と指導医が1人つく手厚さです。屋根瓦方式で、2年目の医師が1年目の医師を、3年目の医師が2年目を指導します。3年目の研修医は指導に専念しま す。さらに必要によって専門医が関わります。

充実した救急医療研修

 2年目の研修医、田中孝明さんはいよいよ1年目の医師の指導にあたります。実時間では3割ほどを占める「救急」 研修が、1年目は「気持ちの上で4割にも感じた」という〝充実感〟でした。救急外来の当直で、1年目医師は緊張でほとんど眠れません。「でもいろいろな経 験をし、やっと慣れてきた。今後は眠れるとは思うが、責任も重くなり、6割くらいに感じるかも」と田中さん。

 研修委員長の増田裕幸医師によれば、救急で独り立ちするまでに、5年の修練が必要です。

 古城都(こじょうみやこ)さんも2年目医師。スーパーローテートに魅力を感じて入職しました。患者のことで困ったら、先輩医師が机を並べる医局に出かけます。「すぐに相談に行ける」間柄も、救急外来で培われています。

研修をささえるしくみ

 診療、症例検討会、臨床講義など盛りだくさんな研修医をささえる一つに「レジデント会」があります。研修医が集まって生活や研修のこと、何でも出しあいます。要望がここで検討され「研修管理委員会」に提出されることもしばしばです。
 開院時からスーパーローテート研修を導入し、98年に臨研病院となり、学生や医療従事者の研修を常時受け入れている同院は、「新制度移行もさほど困難は なかった」と、増田医師は言います。大きな変化は、精神科研修が必須になったこと。「日本中で精神科の研修先が不足」と問題視します。幸い長年の信頼関係 で、地域の精神病院が優先的に受け入れてくれました。
 「多職種参加」の研修も10年来の実施。増田医師は、看護師、コメディカルが研修医を評価する尺度シートを考案しました。これを受け、古城医師は、「こ う見られてるのか。気をつけよう」と受け止めました。増田医師はじめ先輩職員に見守られ、研修医たちは元気でした。

(民医連新聞 第1333号 2004年6月7日)

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