声明・見解

2008年7月23日

【声明2008.07.23】原爆症認定近畿第二次訴訟大阪地裁判決について

2008年7月23日
全日本民医連被ばく問題委員会
委員長 聞間 元

 7月18日、大阪地裁は、近畿原爆症認定集団訴訟の第二次原告11名のうち、すでに新しい認定基準で認定された6名を除き、4名についての認定を認め、救護に従事した原告(援護法第1条の3号被爆者)1名については棄却する判決を下した。
 認定を命じた4名のうち3名は、新基準で積極的認定とならない入市被爆者の心筋梗塞などのがん以外の疾患であるが、これまでの司法判断と同様に、残留放射能の影響や放射線の治癒能力への障害作用を認めたものである。
 また1名は避難途中の「黒い雨」とその後の入市による被曝が認められたC型肝炎の肝がんであり、起因性を否定した国の主張を明確に退けた判決である。
 棄却となった原告は長崎大村海軍病院において、9日当日から約1ヶ月にわたって被爆者の看護に従事した看護婦であった。判決は、救護(看護)活動による 人体被曝の可能性を肯定しながらも、慢性腎炎と肝機能障害という非がん個別疾患への影響について、現時点までに集積された医学的根拠が不十分として棄却し たものである。なお慢性腎炎については、名古屋地裁判決で慢性腎不全の原告が勝訴しており、今回棄却されたことは残念である。
 今回の判決は、1名の棄却を含むとしても、全体としてみるならば積極的な内容を含むものとして評価されることにはかわりなく、10連敗となった国にたいして新認定基準の早急な見直しを求めた判決である。
 被爆者に残された時間は少ない。私たちは原爆症認定訴訟の一括全面解決を強く要求するとともに、医療従事者として被爆者医療にいっそう邁進する決意である。

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