いつでも元気

2009年10月1日

“核兵器のない世界”へ いまこそ! 1人ひとりが歴史を動かす大きな力に

 「私たちは無力ではない、微力でもない。私たちは一人ひとりが歴史を動かす大きな力を持っている」。開会総会での女子高校生の発言。その“力”を 実感した三日間でした。“核兵器のない平和で公正な世界を 原水爆禁止二〇〇九年世界大会”が開幕した八月七日、長崎は三八・八度と観測史上最高気温を記 録。開会総会参加者は約七〇〇〇人、海外代表は二五カ国から七七人でした。

流れを作るのは市民だ

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福岡からチャリンコで(民医連参加者交流集会)

 来年五月、アメリカ・ニューヨークで開かれるNPT(核不拡散条約)再検討会議に向け、「核兵器廃絶」への地球的な世論と行動を作りあげようと、決意を固め合った世界大会。
 開会総会で来賓あいさつに立った田上富久・長崎市長はアメリカ・オバマ大統領のプラハ演説にふれ、こう述べました。
 「オバマ大統領の努力を待つのではなく、私たちに何ができるのかを考える必要がある。“核のない世界を次代に残したい”“核兵器をなくそう”という大き な流れを作ることができるのは、NGO(非政府組織)や市民のネットワークだ。いま生まれている流れを、逆戻りのできない力強い流れにすること、それが市 民に課せられた大きなテーマだ」
 海外代表からは、日本への期待も語られました。「唯一の被爆国である日本は、NPT非加盟国に対し、NPTへの加盟を促す努力をしてほしい」(エジプ ト)、「アメリカは、原爆を投下した日本に対し謝罪すべきだ。それが核兵器廃絶の成功の基礎となるだろう。日本国民は、核抑止の傘から抜けだし新たな安全 保障のモデルをつくるよう、日本政府に強く圧力をかけてほしい」(アメリカ)。
 核の脅威で威嚇する北朝鮮についてマレーシア代表は、「孤立させず、六カ国協議に戻るよう求めるべき。核廃絶に向けた世界的な動きを望む」とし、「オバ マ発言は新しい希望であり、待ち望んでいた動きだ。私たちのたたかいへの支持とも受け取れる」と述べました。

確認書がかわされても

 大会二日目の夜は、恒例となった民医連参加者交流集会を開催。三一県連から来賓など含め四五一人が集いました。
 長崎大会前日の六日、原爆症認定をめぐる集団訴訟の全面解決に向けた基本方針の確認書を、日本被団協と麻生首相が合意。長崎原爆被災者協議会事務局長の山田拓民さんはこう決意を述べました。
 「訴訟の早期一括解決、被爆実態に見合った認定行政への転換に道筋をつけることができた。しかし厚労省は、原爆症認定申請をした八〇〇〇人の審査を終え ていない。確認書が交わされても、まだ解決しなくてはならない多くの課題が残されている。民医連のみなさんには、これまでと変わらず被爆者の支えとなって いただき、これからもがんばりたい」

核兵器廃絶の流れを実感

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7800人が集まった閉会総会

 参加者は、世界大会にむけてのとりくみや参加した感想などを交流しました。
 入職五年目で世界大会に初参加した黒濱麗さん(26)=千葉・今井町診療所事務=は、「世界大会に参加できて本当によかった。実際にその場にいないとわ からないことがある、ということを実感しました。『一人の一〇〇歩より一〇〇人の一歩が大事だ』という発言に感動しました。核兵器は最大の環境破壊だとわ かり、廃絶への思いを強くしました。来年春のNPT再検討会議にむけて、“核兵器のない世界へ”署名をもっともっと集めたい」。
 チャリンコ隊とバス隊二九人で参加した田村嘉織さん(29)=福岡・千鳥橋病院看護師=は「“平和と感じるとき”を撮った写真を募集し、タペストリーに して持ってきました。世界大会に参加して、本当に、世界は核兵器廃絶の流れになっているんだと実感しました」と。

イラクから「9条守って」と

 九日の閉会総会には七八〇〇人が参加。
 イラクの青年ドゥーハ・シャキルさんは「日本は憲法九条を守って」と訴えました。二〇〇三年三月、アメリカがイラクに侵攻したとき、シャキルさんは中学生。爆撃で家を失いました。
 「あちこちに地雷が埋められ、手当たり次第、頻繁に発砲される。侵攻以後、一度も安全だと感じたことはない。核兵器は、地球上の人間すべての生存に対す る脅威です。世界で平和を促進するために、憲法九条を守るようお願いします」
 国際平和ビューローのトマス会長は、「世界のどんな指導者も、世論の強い支持がなければ何もよいことはできない。私たちは核兵器のない世界をめざして、 かつてないほど活動を強め、署名を集め、核兵器廃絶を訴えよう」と発言。核廃絶への歴史の新しいページを開こうと、熱い思いがあふれる大会となりました。
文・宮武真希(全日本民医連事務局)
写真・民医連新聞

いつでも元気 2009.10 No.216

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