民医連新聞

2004年6月7日

命によりそう 介護・福祉(4)

笑顔を向けられると何とも言えず嬉しい 松村 直彦

 私が当苑に来て三年半、今年はいよいよ介護福祉士の試験に挑戦します。
 今年の二月から「ショートゾーン」で働いています。というのは、当苑が「入居ゾーン」と「ショートゾーン」を分ける試みを始めたからです。
 以前まではユニットケアで「家庭的な味わい」を方針にした「入居者」主体の施設でした。私たちも、入居者といっしょに暮らしている感じでした。ところが ショートステイの利用者さんは「帰る」ことが前提です。両者がいっしょの場所にいることには、問題もあったのです。
 ショートの利用者は、どちらかと言えば介護度が低く、自立した人が多い。入居者用のプログラムでは対応しきれず、入居者のほうも、せっかく仲良くなった 人が帰ってしまう寂しさを味わいます。うらやましさから不穏になることもありました。私たちは、「ショートでは楽しんで気持ちよく帰ってもらうこと」をめ ざすことにしました。
 なじみになった利用者に、「楽しかった」「また来たいな」と言われると、とても嬉しいです。利用者の生活の張りを引き出してあげるのが私たちの仕事です。
 この仕事に就く前は会社員でした。直接お客様と関わる部署でもありませんでした。「つまらないな。働きがいがないな」と感じ始めた時、ボランティアをし ていた施設で、職員の顔がとても生きいきしていることに気づきました。「すばらしい笑顔だな」と。お祭りの手伝いや、付き添いや話し相手をして、高齢者に 「ありがとう」と、笑顔を向けられると、何とも言えないくらい嬉しくなりました。その気持ちが忘れられず、思い切ってヘルパーの資格を取り、転職しまし た。
 この職場の雰囲気は好きです。お互いのめざすものが近いからか、団結力があります。以前の会社環境と違い、終わりのない仕事なので、みんなが自然にカバーしあっています。だから「苦労だな」と思うより、「どう解決しようか」と考えます。
 「これが正解」というのがない仕事なので、自身を高めがんばっていきたいと思います。(富山・特別養護老人ホームしらいわ苑)

(民医連新聞 第1333号 2004年6月7日)

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