民医連新聞

2004年6月7日

じょく瘡委員に私も立候補 岩手・川久保病院

多職種チームで予防にとりくむ

 「えっ、調理師さんがじょく瘡回診に参加?!」 岩手・川久保病院(一二〇床)では、じょく瘡委員会の一員として活躍しています。また、同院のじょく瘡 予防チームでは治療計画を共有したい、と回診時には患者さんの家族の同室をすすめています。「多職種間で気軽に話し合え、病棟から相談しやすい」という、 チームの活動を見に行きました。(荒井正和記者)

 四月二三日の午後、川久保病院の病棟で、じょく瘡回診が始まりました。月二回の回診には、三年目の研修医、蒔苗(まかなえ)剛医師を中心に看護師、理学 療法士、薬剤師、栄養士、調理師が加わります。この日、一三人の患者さんを回りました。
 看護師は、患者さんの状態について前の回診時からの経過を説明し、医師と必要な処置を行います。一人ひとりの日中の活動量、体圧などを細かくチェック し、使用するマットレスの種類が合っているかをみていく、理学療法士。薬剤師は薬剤の効果を確認。栄養士・調理師は、体重の変化、残した食事や飲み物など の有無をチェックします。
 その後、じょく瘡の治癒を判定し、必要エネルギー量や薬剤などの変更も出し合い、治療計画を確認して回診を終えます。この回診結果と撮影したじょく瘡の写真を入れた報告用紙を病棟に配ります。

看護計画を患者・家族にも

 同院では、「患者の権利章典」を実践するため、患者さんとその家族を加えて看護計画を立てたいと考えています。そのためにじょく瘡のケアや機械浴などを実際に家族に見てもらおうと、ケアへの参加をすすめています。

 この日、以前断られた家族に再度見学について話をしました。すると今回は承諾してくれました。「前は、怖くて じょく瘡を見られなかった」と話し、改善している患部に目を丸くし、顔をほころばせました。「ラップで保湿をしましょう」との説明に、「ラップって、何の ことですか?」と治療にも興味を持って尋ねてきました。

ベッドサイドに行く

調理師 二〇〇二年四月の診療報酬改定でじょく瘡対策の未実施減算が決められたことを機に、多職種がかかわる予防チームをつくろうと、七月に委員会を立ち上げました。

 職員一〇人で、一日三〇〇食近くを準備する栄養科。三年目の調理師、佐藤美恵さんは、自ら委員に立候補しました。「じょく瘡を見るのも初めてでしたが、チームで予防することに興味を持ちました」と言います。
 委員会では、患者さんの栄養アセスメント実施表を作りました。じょく瘡のリスクをもつ患者さんが発生し、病棟からその実施表が栄養科に届くと、主任、栄 養士との三人で患者さんの身長、体重、上腕筋などの計測に行きます。そこから、基礎エネルギー消費量、必要エネルギー量、たんぱくと水分の必要量を割り出 します。評価結果を医師に伝え、治療食の変更など栄養面からのじょく瘡の予防、改善を提案します。

 「栄養評価をした食事を提供しても、残されれば意味がありません。食事をするうえでの問題や実態がわかり、検討 できる回診への参加が大切です。食事のとれていない患者さんがいると病棟の看護師から連絡が入ります。また、配膳を栄養科が行うことで、日常的に患者さん と向き合えるようになりました」と佐藤さんは声を弾ませます。

* * *

 同院では、患者さん、組合員さんが期待するリニューアル工事がすすんでいます。あわせて委員会活動も大いに発展させようと、各委員もはりきっています。

(民医連新聞 第1333号 2004年6月7日)

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