民医連新聞

2004年7月5日

いのちによりそう 介護・福祉(5)

「しんどい」と悩みながら「もうちょっとがんばろ」と ヘルパー 堀 千恵

 当ステーションには五人の常勤ヘルパーと登録ヘルパー、あわせて約三〇人が働いています。多い世代は四〇代、「親の介護を終えて」「会社が倒産」など、入った動機は様ざまですが、みんながんばっています。

 私自身もヘルパーになって一〇年足らずです。最初はトラックに乗り、自動販売機を管理する某飲料会社で働いてい ました。人と接することがほとんどない毎日から、人間相手の仕事への大転換のきっかけは、病院の自販機にジュースを補充している時にやって来ました。なか なか通じない職員と患者さんの会話を背中で聴いて「私なら、もう少しうまい説明ができる」と、ふと思ったのです。男性優位の会社に限界を感じていたことも あり、ある施設に就職しました。

 今のステーションに来たのは九九年秋の開設から。施設やデイサービスとの違いを痛感。マンツーマンで介護ができ る充足感はあります。でも在宅で暮らしている方は、活きが良いです。怒られる時、喜んでくれる時、どちらの反応もとびきり大きいので、うまくいかない時 は、泣きながら事務所に帰ってくるスタッフまでいます(こんな悩みはカンファレンスで話し合う)。

 もう故人ですが、「ゴミを捨てにいく足は無いけど、パチンコに行く足ならある」という一人暮らしのおじいちゃんがいました。ひと月分の収入を一日でパチンコですってしまい、食料を買うのに家中の五円玉や一円玉をかき集めたこともありました。

 「訪問介護は利用者さんの『お城』に入っていくということなんやなあ」、と思います。往診でも訪問看護でもお家 には行きますが、押し入れや冷蔵庫の中までは見ることはないでしょう? 私たちの仕事はそういう深い部分にまで入っていかなければなりません。こういうと ころがやりがいでもあり、苦労でもあります。

 「もう、しんどい」と悩みながら、「もうちょっとがんばろ」と思って今まできました。この先もこうして続けていくんやと思います。

 たいへんな利用者さんを受けた

時も「エライ人に当たった」と思うのではなく、「これから、この方にはあれもこれもできる」と前向きに受け止められる集団になりたいです。(和歌山・ヘルパーステーション協同)

(民医連新聞 第1335号 2004年7月5日)

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