いつでも元気
2010年1月1日
くすりの話 120 「胃腸薬」について(上)
口から肛門まで、私たちの体には長い消化管が通っています。胃は、胃袋ともいうように、容積が1.2~1.5リットルもある袋状の臓器です。食べ物を十分 に消化し、十二指腸に移動させるための運動機能をもっています。腸は、栄養と水分を吸収する役割があります。胃と腸の病気の治療や症状の緩和に用いる薬が 「胃腸薬」です。今回は、胃の病気に用いる薬についてお話します。
Q:胃の病気にはどんなものが?
A:胃の病気は、大きく二つに分けられます。一つは胃袋の組織そのものに病気があるもので、胃がんや胃潰瘍、委縮性胃炎などがあります。もう一つは、胃袋の組織には異常がないのに胃のはたらきが悪くなる場合です。
何らかの原因で胃の運動機能が支障をきたすと、少し食べただけでお腹がふくれる感じがしたり、食欲不振、吐き気、嘔吐、胃もたれ、痛み、胸やけなどがおこります。
病気でなく、食べ過ぎやお酒を飲みすぎた時などに、胃もたれや胸やけの症状がおこることがあり、異常のサインとして知らせてくれます。
Q:胃薬はどんな時に服用するのですか?
A:日本人の8割が何らかの胃の不快な症状を経験したことがあ るといわれ、「一般用医薬品」(処方せんなしに購入できる市販薬)としても胃腸薬は、かぜ薬とならんでたくさんの種類があります。食べ過ぎが原因のときは 食事の制限だけで改善することがありますが、症状がつらいときや早く治したいときには胃薬を使います。
医師が処方する薬には、おもに潰瘍や逆流性食道炎(食べものや胃液が食道の方へ戻ってくる)に用いる胃酸分泌抑制薬のH2ブロッカーやPPI(プロトンポンプ阻害薬)などがあります。痛みがある場合は、粘膜保護剤を併用します。
また、胃の動きが悪い場合には、消化管運動機能改善薬を用います。
Q:胃薬を選ぶときの注意点は?
A:薬局・薬店で一般用医薬品を購入する時には、薬剤師や登録 販売者(薬剤師ではない医薬品販売専門職)に自分の症状をしっかり伝えることです。ほとんどのものに複数の成分が含まれており、いろいろな症状に効くとし て販売されています。薬のパッケージをよく見て、効能効果を確かめたうえで購入、服用してください。あわせて主な副作用を聞いておくことも大切です。
胃はデリケートで、ストレスなどの影響を強く受けます。暴飲暴食を避け、規則正しい生活を送るなど、生活を改善しても症状がよくならないときは、一般用 医薬品では治らない病気の可能性もあるため、我慢せずに早めに受診することが必要です。(次回は腸の病気のときの薬を紹介します)
いつでも元気 2010.1 No.219
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