声明・見解

2007年9月28日

【声明2007.09.28】「負担増の一部凍結」は「まやかし」です あらためて高齢者の生きる権利を奪う 「後期高齢者医療制度」の中止・撤回を求める声明

2007年9月28日
全日本民主医療機関連合会
会長 肥田 泰

 2008年4月実施予定の「後期高齢者医療制度」に対し、その内容が明らかになるほど「こんな制度は許せない」「誰が決めたのか」と、各地で怒りの声がまきおこっています。
 こうした怒りが、参議院選挙で自民党・公明党の歴史的な敗北を生み出しました。「医療難民」「介護難民」「出産難民」を生み出してきた小泉・安倍政権の医療崩壊路線に対する国民、医療関係者の明確な審判です。
 安倍首相の突然の政権投げだしによって誕生した福田政権は、国民の怒りの矛先をかえ、総選挙対策の一環として、後期高齢者医療制度の一部手直しを行い、患者負担の一部凍結を打ち出しました。
 これは一面で国民の怒りや私たちの運動の反映です。
 しかし、あくまで「凍結」であって、制度の中止・撤回ではありません。総選挙が終われば「解凍」することは明らかです。なによりも、今後5年間で社会保 障費1.1兆円、年間2千2百億円の削減方針は一切変えていません。
 今、必要なのは、世界一の医療費抑制政策を止め、国民の生命・健康を守るために、少なくともOECD並に医療費への国庫負担を増やす緊急措置をとること です。財源は、大企業優遇税制の見直し、道路特定財源の一般財源化や無駄な公共事業の見直し、世界第2位にもふくれあがった軍事費などを見直すだけで、 15~20兆円の財源は出てきます。福田首相「国民生活を守る」ことを名目に消費税引き上げの可能性についても言及しています。これは1989年の消費税 導入時に「高齢化社会に備える」との名目が使われたのと同様であり、2度、国民をだますものに他なりません。
 後期高齢者医療制度は、(1)全ての後期高齢者から保険料を個人別に死ぬまで徴収し、さらに、健保家族で保険料を払っていない200万人の方からも新た に保険料を取り立てる。(2)介護保険料と新たな保険料合わせて月1万円以上が年金から天引きされる。(3)保険料が払えず滞納すると、保険証を取り上 げ、窓口では全額自己負担となる。(4)後期高齢者の増加に伴って医療費が上がれば保険料が連動して引き上げられる。(5)診療報酬は一般と区別され、 「定額制」や「人頭制」の導入など高齢者医療に差別を持ち込む。などです。
 東京都では年額平均15.5万円など各地で、当初厚労省が提示した年額7万4千円(平均)を大きく上回る保険料が出されています。民医連と共同組織の仲 間が昨年行った2万人の高齢者生活実態調査では、月収10万未満の方が約半数でした。まさに、高齢者は長生きするな!と言わんばかりで、世界の中で例をみ ない差別的医療制度です。
 従って、政治がすべきことは後期高齢者医療制度の「一部見直し」など小手先の対応ではなく、制度そのものの中止・撤回を行い、医療費への国庫負担を直ち に増やすことです。日本は世界一の長寿国です。しかし、高齢者をいじめ、「長生きを悪」とする制度や政治に未来はありません。
 私たち民医連は、多くの国民と共同の輪をひろげ、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求め、いっそう運動を広げていきます。

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