民医連新聞

2004年8月16日

痴呆医療・リハビリの効果 「第2回老年医学セミナー」ひらく(東京)

 「第二回老年医学セミナー」(保健医療研究所主催)が七月三一日、東京で開かれました。テーマは「痴呆の医療」。医師、看護師、介護職など一二〇人余が参加しました。

 介護・福祉部長の山田智理事があいさつ。〇六年に予定される介護保険の見直しで、厚労省が「介護度1」と「要支援」を給付対象からはずし、市町村に対応させる案を出したことにふれ、グループホームの整備などの遅れもあり、「今後痴呆のケアが問題になる」とのべました。

 筑波大学の谷向知(たにむかいさとし)医師による「今日の痴呆診療」、国立長寿医療センターの長屋政博医師による「痴呆のリハビリ」の二つの講演が行われました。

痴呆のケアとは

 谷向氏は「今日はライブの雰囲気を味わってください」、とメモを中止させ、「痴呆は老化現象か?」「痴呆の人を叱ってはいけない、これは本当か?」「痴呆を早期診断しても仕方ないか?」など、参加者に質問しながら、話をすすめました(答えは順に、×、○、×)。
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 また豊富な症例、調査結果を示し、「感情が揺さぶられる衝撃的な記憶は残りやすい」(左参照)「妄 想は主介護者に向けられる。苦しいけれど、それは介護者にとって勲章なのです」「問題行動の陰にある合併症を見逃さないこと」「介護者が代行するのでな く、さりげなく、部分的に、ひとつずつ援助することが大事。介護者はメガネと同じ。じゃませず、手助けする」など、わかりやすく話をしました。

 さらに「デイケア・デイサービスを利用している人は、そうでない人に比べ、在宅生活を数年長く続けられる」とその有用性についてもふれました。

リハビリで悪化ふせぐ

 長屋医師は、「リハビリにより、生活にリズムとアクティビティがつき、痴呆の悪化を抑えることができる」と、長 寿医療センターでとりくんでいる回想法やアニマルセラピー、音楽、絵画、園芸…などの療法を紹介。これらにとりくむ重度痴呆者の様子に「こんなことができ るの?」と、介護者が驚くほどの効果も示しました。
 しかし統計的に効果を確認することは難しく「研究上工夫もしている」とのべ、参加者にも「有効性を証明しよう」と呼びかけました。

 北海道・釧路協立病院の山崎雅勇医師が「脳精検外来」について、福岡・みさき病院の田中清貴医師が「病棟でのとりくみ」を、報告しました。二人の講師を交え、質問・意見が交わされました。

*  *  *

 山田理事は、「明日から使える知識を学んだ。また痴呆に積極的にとりくんでいる仲間を知ってもらえた。今後、懇話会をもち深めていこう」とまとめました。

(民医連新聞 第1338号 2004年8月16日)

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