民医連新聞

2004年8月16日

被災者住民のささえになろう 地域訪問、健康相談 福井民医連

 集中豪雨で被害を受けた福井では、被災者の支援に民医連職員が立ち上がっています。福井民医連は「このような時こそ民医連が試される。全職 員が地域に行き住民の困難に向き合おう」と提起しました。住民の健康管理が緊急に必要と判断し、職員と共同組織にボランティアを呼びかけ、これまでに延べ 三〇四人、八割以上の職員が支援活動に参加しています。

 被災地では、いまだに、おびただしい泥とのたたかいが続き、「眠れない」「便秘や下痢が続いている」など、不調を訴える人がでてきました。

 開業医も被害を受けて診療を再会できず、患者さんは、受診したくてもできない状態です。

 市や町は公民館などに、医師や看護師を常駐させていますが、自宅で泥の搬出作業を続けている人の耳には届いていません。

市と連携をとって

 当民医連の対策本部は、患者、組合員の支援をすすめ、また、県にも緊急医療支援を申し出ました。県担当者は「ロシアタンカー重油被害の時もお世話になった、今回もお願いしたい」と快諾、市の保健センター職員と連携しながら、健康相談をすすめることになりました。

 七月二四~二五日には、福井市の各町内に福井医療生協の「健康チェック」ののぼりを立て健康相談の窓口をつくりました(写真上)。医師・看護師などが病状を聞くアンケートを持ってその周辺のお宅を訪問(写真左)。両日でのべ五〇〇軒を回りました。

低血糖を起こす心配のある人が

 地域では、様ざまな相談を受けました。

 糖尿病の七〇代男性は、血糖値はいつも二〇〇台。一日三回のインシュリン注射が必要ですが、血糖測定機が泥水を かぶり故障してしまいました。やむをえず血糖を測らずに注射をしていました。近所にあるかかりつけ医も被害を受けていて、検査ができる状態にありません。 被災後の食事は十分でなく、この日もおにぎり二個だけ。復旧作業を一日中続けているため、血糖値が下がっていました。低血糖を起こさないか非常に心配な状 態でした。

 別のインシュリン治療中の男性は、きちんとインシュリン注射をしていましたが、疲れて食事をせずに寝てしまうことがあり、夜間の低血糖が心配な状態でした。二人とも簡易血糖測定と指導をして、病院へ行くようすすめました。

体の変調に気づかない人も

 ほかにも、血圧が高いことに気づかず作業を続けていた人、薬を飲むことを忘れている人などがいました。暑さとゴミ、砂ぼこりの中の異常な生活を強いられ、体の変調に気づかないのです。普段の生活であれば簡単に解決できる問題も、異常な環境の中で困難になっています。

 その日のうちに緊急対応した人も多数いました。

 全体的には、だいぶ落ち着いてきたとはいえ、通常の生活に戻るには、まだ時間がかかります。連日の作業で疲労も重なり、健康状態の心配な状況が続いています。

 今後も当県連では、支援を継続する予定です。


光陽訪問看護ステーション 水口朋子所長の話

 利用者さん宅へ、スコップ、軍手、長靴持参で訪問しました。地域と行政とのパイプ役になったこと、地域訪問がた いへん喜ばれました。「こうやって、みにきてくれるのなら、光陽生協病院にかかりたい」といってくれた人も。地域の皆さんの精神的なささえになれたこと が、とてもうれしいです。

(民医連新聞 第1338号 2004年8月16日)

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