声明・見解

2007年11月20日

【声明2007.11.20】予防接種法施行令の一部を改正する政令に関する意見

2007年11月20日
全日本民主医療機関連合会 小児医療委員会

 今春のような大流行を予防するために、すばやく対策をたて来年4月から緊急接種を開始することになったこと歓迎します。また風疹も含めたMRワクチンに することは風疹の感受性者を妊娠可能世代の男女から排除することにもつながるので大事な事だと思います。
 
 しかし、問題点として以下の点があると思われます。

  • Catch up接種が5年間かかり接種対象は中学1年と高校3年相当のみに限られるため、完了する2013年までにはしかの大流行が繰り返される可能性があります。
  • WHOは2012年までに東アジアからの麻疹撲滅をめざしていますが、この接種計画の 完了は、2013年であり、当初からWHO目標が達成できない計画となっています。韓国は2001年に3カ月で同じ問題に集中的に対応し、その後の麻疹発 生動向から2006年11月に撲滅が達成したとの確認を受けています。WHOの2012年までの目標に対して本気で追求するなら対象年齢の接種完了に5年 もかけずに是非取り組んで頂きたいと思います。
  • もし、MRワクチンの供給体制の問題が、このような長期を要する背景にあるのであれ ば、その解決に国として対応したのか、また、ワクチンメーカーにどのような働きかけをおこなったのか、あるいは海外からの輸入の検討がされたのか、そう いった点に関する情報開示をお願いします。
  • この計画の成否は、18歳前後の年齢で、95%以上のワクチン接種率を達成することが できるかどうかにかかっていると思われます。現行のMRワクチン第I期、第II期の接種率は、どの程度になっているのか正確に把握していただき、その現状 にたって、中学3年・高校3年相当の年齢の児の95%以上にMRワクチンを接種しきるための具体的な対応をたてる必要があると思われます。
  • ワクチンの接種時期に完了できなかった場合に、接種の機会をどう保証するのかも重要です。様々な事情で接種の時期をはずれ、やむを得ず任意で受けた場合に も、被害者救済を定期予防接種に準じておこなう施策が必要です。
  • ワクチンの効果を判断する場合、麻疹の発生全件数を正確に把握する仕組みを構築するこ とは、疫学的な立場に立てば大前提となる解決すべき課題です。海外では、当然として行われている全数把握を、ワクチン開始前にシステムとして確立する必要 があります。定点情報のみのサーべイランスの仕組みを全数把握に変更せねばならないと思われます。

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