声明・見解

2008年11月20日

【抗議声明2008.11.20】医師不足に関する自らの責任を棚上げし、責任を医師や臨床研修制度に転嫁する麻生首相発言に抗議する

2008年11月20日
全日本民主医療機関連合会
会長 鈴木 篤

 麻生首相は昨日、全国知事会議において「社会的常識がかなり欠落している人(医者)が多 い。とにかくものすごく価値判断が違うから」と、医師不足にかかわって医師の常識不足について言及した。この発言は、先の二階経産大臣の救急受け入れ困難 の要因に「医師のモラルの問題」をあげたのと同趣旨のものであり、一国の首相としてあまりにも現場を知らない不見識な発言であり、断じて容認できない。こ のように首相や閣僚からの相次ぐ発言は、政府が今、国民的大問題となっている医療崩壊、医師不足に対して本気でとりくもうとする姿勢がないことを表してい る。ただちに撤回を求める。
 首相の発言は、世界的にみてもあまりに少ない医師数の中、自らの生活さえも犠牲にしながら患者の命に向き合い、第一線の現場で医療を守ろうと献身する多 くの医師たちへの侮辱である。日本の医師はOECD30ヶ国中27位であり、この低水準が長時間過密労働を強いている最大の要因である。
 さらに見過ごせないのは、医師不足の原因を医師会にもとめたり、臨床研修制度に原因があるとするかのような発言である。医師不足は、卒後臨床研修制度に ではなく、医療費抑制のため医師数を20年以上にわたり抑制してきた政府・与党にこそその原因がある。
 首相は「医師不足を真摯に受け止めなければならない」とも発言したようだが、医療現場の困難について、常識を欠落させているのは医師ではなく首相自身で ある。あまりの首相の認識不足と非常識さには、怒りを通りこし、悲しみさえ感じる。政府が直ちにとりくまなければならないのは、これ以上の医療崩壊を防 ぎ、医学部増員の完全な実施と、医師はじめ医療従事者が働き続けられる条件を早急に整備することであり、これは政治の責任である。
 われわれは、日本の医療の再生のため、年2,200億円ずつ削減する医療費抑制策に固執する政府の姿勢を抜本的に転換させるべく全力を尽くす決意である。

以上

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