声明・見解

2007年12月18日

【談話2007.12.18】 病苦の被爆者の救済にほど遠い内容である「原爆症認定の在り方に関する検討会」報告について

2007年12月18日
                       全日本民医連被ばく問題委員会
                        委員長 聞間 元

 12月17日、「原爆症認定の在り方に関する検討会」は最終的な報告書を発表した。
 この検討会は、現行の審査の方針に基づく認定が問われた6地裁での相次ぐ国敗訴の判決を受けて、安倍前首相の指示で認定基準の見直しのために設置された ものであったが、結果は小手先の追加的変更にとどまる内容となった。

 そもそも6地裁の判決は、現行の原因確率に基づく認定方法が、初期放射線ばかりでなく残留 放射線の影響を多大に受けた被ばくの実態から大きくかけ離れ、科学的に未解明にもかかわらず一定の基準を設けて被爆者の健康被害を切り捨てる欠陥だらけの 基準であることを指摘している。

 私たち全日本民医連医師団も4つの医師団意見書を作成して現行基準の欠陥の医学的解明にと り組むとともに、各地の法廷で積極的に証言台に立ち、その基準の不十分さを直接訴えた。にもかかわらず今回の報告書は、がんをはじめ多様な後障害に苦しむ 被爆者の救済を相変わらず限定的な範囲に止めようとしている。

 被爆62年を経た今も被爆者の病苦は消えることなく続き、新たな健康障害の発現の可能性も決して無視できない。

 「原爆被爆者の援護に関する法律」の精神に照らせば、こうした被爆者への十分な医療と療養の補償は国の責務である。今回の報告書がこうした国の責任について一切触れていないことも、検討会の取りまとめが厚労省主導であったことを示している。

 私たち全日本民医連は引き続き被爆者への支援を惜しまず、安心して療養が続けられる補償の実現のために奮闘する決意である。

以 上

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