声明・見解

2009年3月25日

【声明2009.03.25】与党の水俣病問題に関する「特別措置法案」に断固反対する

2009年3月25日
全日本民主医療機関連合会
会長 鈴木 篤

 自民・公明両党は3月13日、水俣病の「最終解決」をはかるとして「水俣病被害者の救済及 び水俣病問題の最終解決に関する特別措置関連法案」を衆議院に提出した。しかし、同法案の言う「最終解決」は、(1)被害者を大量に切り捨てる、(2)き わめて低い水準の保障である、(3)加害企業チッソを「免罪」するものに他ならず断じて容認できない。

 第一に法案には「救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済され」とあるが法案の言う「救済を受けるべき人々」は「通常起こりえる程度を越えるメチル 水銀のばく露を受け」「かつ四肢末梢優位の感覚障害を有する者」としている。この内容では声を上げている人の「およそ3分の2」が切り捨てられてしまう。 さらに3年の期限を区切ってその後にあらあわれた水俣病患者を一切救済しない本法案は未だに声を上げられないでいる潜在患者を切り捨てるものである。
 そもそも国はいまだに、地域住民の健康調査に基づく被害実態の把握をしていない。言うなれば水俣病がいかなる疾病かということを何も分かっていないので ある。そのなかで、全日本民医連は長年にわたり水俣病患者の診療・研究を重ね、水俣病患者に寄り添い、被害者の治療・援護にあたってきた。水俣病患者の苦 しみは法案が示すような「救済策」では決して救われないことは臨床の現場からみればあきらかである。

 第二に、本法案が示す救済措置は、最高裁判決の賠償水準はもとより1995年の「政治決着」をも下回るきわめて低い水準であるなど、多くの問題を含んでいる。

 第三に、本法案はチッソをいずれ清算に向かう補償のための親会社と収益を上げる子会社に分社化することとしている。加害原因企業と企業責任の免罪は、被害者が加害者チッソに対する損害賠償請求裁判などを不可能とさせるものであり断じて容認できない。

 以上の点から、本法案はまさに保障を低い水準に押さえ込みかつ水俣病患者の切り捨てのための法案であることは明白であり決して認めることはできない。
 全日本民医連は本年9月に熊本県などで水俣病の大規模な健診活動を通じ、水俣病の実相を明らかにするとりくみを計画している。与党PTが出した法案がい かにでたらめなものであるかが白日の下にさらされるであろう。また、問題の根本解決には患者会の願いである「司法救済制度」の確立など、被害者の声を生か した制度が欠かせない。
 全日本民医連は水俣病患者の全員救済が実現されるまで、断固としてたたかうことをあわせて付け加える。

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