声明・見解

2009年5月16日

【声明2009.05.16】原爆症認定集団訴訟(近畿2次)大阪高裁判決についての談話

2009年5月16日
全日本民医連被ばく問題委員会委員長 聞間元

 5月15日、大阪高裁は、原爆症認定集団訴訟(近畿2次原告5名)について、救護被曝者1人を除く非がん疾患の4名について、放射線との因果関係を認めた判決を言い渡した。
 このなかでは、これまで下されたすべての判決と同様に、現行のDS(線量評価)方式によって被曝線量を低く推定する認定作業のあり方を批判し、とりわけ 初期の数々の医療調査報告に現れた急性症状の記録を評価重視する立場を鮮明にして、「その被爆状況、そのころ身体異常が生じたか否か、異常の具体的内容と 程度はどのようなものであるか等の諸事情をできる限り明らかにし、それによって急性症状があったと判断できれば、これらの諸事情を総合的に判断して」審査 を行なうべきであるとしており、私たち医師団意見書の主張に沿うものとなっている。
 なお判決は、急性症状のない体内異物(ガラス片残留)や、入市被爆の心筋梗塞、積極的認定から外されている肝機能障害を認めたが、救護被爆者の肝機能障 害については、被曝した可能性は認めながらも、皮下出血や脱毛といった「特徴的な症状」が認められないことから有意な線量を被曝したとは認められないとし て却下したが、判決全体としてみるならば原告側の勝訴であると判断できるものである。
 国は、今回の判決で17連敗であり、与党内部からも「不毛な争いをやめ早期の被爆者救済」を求める声が出されていることをふまえ、上告すべきではない。 「新しい審査の方針」を抜本的に改め、一刻も早い原告の全員救済とともに訴訟の全面解決をはかるべきである。
 私たち全日本民医連医師団と被ばく問題委員会は、引き続き全国の被爆者の健康管理と原爆症認定行政の改善のために力を尽くす決意である。

以上

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