声明・見解

2009年5月28日

【声明2009.05.28】原爆症認定集団訴訟(東京1次)東京高裁判決についての談話

2009年5月28日
全日本民医連被ばく問題委員会委員長 聞間元

 5月28日、原爆症認定集団訴訟(東京1次)の控訴審において、東京高裁は、原告11名の申請疾病について、1名を除く10名の却下処分を取り消す判決を言い渡した。
 今回の判決は、本年3月の千葉訴訟控訴審判決に続いて、「新しい審査の方針」が認めなかった遠距離被爆者のがんや非がん疾患の放射線起因性を積極的に認めた画期的な内容といえる。
 勝訴した原告の申請疾患には、前立腺がん、直腸がん、下咽頭がん、さらには甲状腺機能低下症やバセドウ病といった、これまで統計的に増加なしとされてき た疾患が含まれているが、判決では「放影研の疫学調査の結果以外の学問的な成果をも考慮に入れて放射線起因性の有無について審査すべきである」とし、「審 査の方針には問題があり、原爆症認定の判断基準として適格性を欠く」と言い切った明快なものである。
 特に、甲状腺疾患に対する判断は、医師団が提出した甲状腺機能低下症に関する補充意見書の見解や、証人尋問で述べた見解と一致する内容である。
 千葉訴訟の判決と同様に慢性C型肝炎についても肝炎ウイルスと原爆放射線の共同成因説を採用し、国の反論を退けて放射線起因性を肯定しており、甲状腺疾 患や慢性肝疾患を除外している審査の在り方の誤りを繰り返し指摘した判決であり、現行審査基準の見直しを迫るものとなっている。
 なお、敗訴となった原告は、13日目の入市で約42時間の滞在時間であったことや急性期の身体症状の評価で被曝の程度が低いものと見なされたが、残留放射線の影響についての可能性は認められている。
 今回の判決で国は18連敗となり、「新しい審査の方針」による認定がいかに被爆者の健康被害と矛盾したものであるかが明確になっている。国は上告せず、 一刻も早い認定基準の抜本的な見直しを決断し、すべての原告の救済を図るとともに、訴訟の全面解決をはかるべきである。
 私たち全日本民医連医師団と被ばく問題委員会は、引き続き全国の被爆者の健康管理と原爆症認定集団訴訟の全面勝利のために力を注ぐ決意である。

以 上

(PDF版)

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