医療・福祉関係者のみなさま

2009年12月10日

【声明2009.12.10】川崎協同病院「気管チューブ抜去・薬剤投与死亡事件」最高裁判決にあたって

2009年12月10日
全日本民医連医療部部長
小西 恭司

 2009 年12月7日、最高裁判所において、川崎協同病院で1998年に起こった「気管チューブ抜去・薬剤投与死亡事件」に関して上告が棄却され、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の判決が確定しました。
 あらためてお亡くなりになられた患者様のご冥福をお祈りするとともにご遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。
 全日本民医連は、事実が発覚した2002年4月、および横浜地裁判決をうけた2005年3月に、医療部長名で声明を発表しました。この事件は、積極的安 楽死容認の条件に全くあてはまらないものであり、治療方針をめぐる集団的な議論がなされないまま、主治医の独断で気管チューブの抜去・鎮静剤の投与・筋弛 緩剤の注射がなされた許されざる事件と考え、対応してきました。
 全日本民医連は、当該事業所とともに事実経過を徹底して調査・分析するとともに、外部評価委員会の報告に学び、民主的なチーム医療の実現、事業所の管理 運営の改善に努めてきました。そして一貫して医療倫理問題を重視し、加盟する各病院に医療倫理委員会の設置をすすめるとともに、終末期医療の問題について あらゆる機会を通じて検討を進めてきました。
 川崎医療生協・川崎協同病院では、この事件の重みを真摯に受け止め、倫理委員会を設置するなど体制整備をはかり、「終末期医療指針」「インフォームド・ コンセント指針」をまとめ、職員・組合員が一体となって地域に開かれた学習会やシンポジウムを開催するなど努力を重ねており、医療の改善が進んでいます。
 事件発生以後の約10年間、終末期医療のありかたをめぐっては、厚労省や各学会からガイドラインが発表されるなど医療界で議論が進みつつあります。同時 に、日常の医療現場では日々直面する問題であり、常に患者の人権を第一に、原則に沿った対応、集団的な検討、全職員の学習が求められています。
 全日本民医連は、今回判決が確定したことを重く受け止め、あらためて痛恨の経験を教訓に、「患者の人権」を根幹にすえた医療を実践していくために、各事業所で学習・討論を進めていくことを呼びかけます。
 この間確認してきた「一人で決めない」「一度で決めない」の原則に改めて立ち返り、二度とこのような事件が私たちの医療現場で起こらないよう、より一層取り組みを強めていく決意です。

以上

(PDF版)

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