医療・福祉関係者のみなさま

2010年2月5日

【声明2010.02.05】医道審議会医師分科会医師臨床研修部会における、「激変緩和措置」についての新しい議論の方向性を歓迎する

2010年2月5日
全日本民主医療機関連合会
会   長    鈴木  篤
医師部長    藤末  衛

 2月3日に開催された医道審議会医師分科会医師臨床研修部会において、新医師臨床研修制度 の見直しに伴う激変緩和措置に関する今後の対応が議論されました。前回の会議につづき、基幹型臨床研修病院の指定条件について、激変緩和措置は早急に打ち 切るべきという「強硬」な意見がだされました。しかし今回は、欠席された委員からの意見も含め、少なくない委員から臨床研修病院の指定基準とされた年間 3000人の入院患者数以下の臨床研修病院であっても、研修がきちんとされているのであれば、上から激変緩和を打ち切るようなやり方で対応するのはいかが なものかといった趣旨の発言もされ、部会として「厚生労働省科学研究が行っている臨床研修制度の評価に関する調査結果などを踏まえてから検討したほうが良 い」との意見で一致を見ました。臨床研修病院や都道府県別の募集定員についても「地域の状況をよく考えるべき。上からこうしたらいいというだけではまず い」などの意見もあり、23年度については激変緩和措置を継続することが確認されました。
  全日本民医連は、中小病院を臨床研修病院から排除する措置は、プライマリケア研修を重視する制度の根幹を曲げるものという理由から反対してきました。今回 の医師臨床研修部会における新しい議論の方向性をおおいに歓迎するとともに、研修医養成の実際の評価や、地域医療の実情をふまえた冷静な議論をあらためて 求めるものです。そして、臨床研修病院の指定に関して、激変緩和措置を次回の制度見直しまで続けることを強く要望するものです。
 同時に、激変緩和措置を「早急に打ち切るべき」などの発言の背景に、深刻さを増す大学病院の現状と医療崩壊があることに私たちも深く留意します。しか し、地域に密着した医療をすすめる中小病院を一律に排除するような医師研修制度の変更によって地域医療が救われると考えることには無理があると言わざるを 得ません。  
地域の医療をどうしていくのか、そのために医師の研修と養成をどうしていくのかについて、いま、大学病院か自治体病院か民間病院か、大病院か中小病院かを 問わず、それぞれの地域で、医療崩壊に苦しむ患者と医師をはじめとする医療従事者の現状、そして医師養成の実情について、お互いが胸襟をひらいて共有し、 新しい水準の協力、連携に踏み出すための議論を始めることこそが求められていると考えます。

以上

(PDF版)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ