医療・福祉関係者のみなさま

2010年3月12日

【2010.03.12】原爆症認定集団訴訟・名古屋高裁の判決について

2010年3月12日
全日本民医連被ばく問題委員会

 3月11日、名古屋高裁は、地裁の却下判決を不服として控訴していた2名の原告について、白内障の1名を認定し、膵管内腫瘍の1名については棄却の判決を下した。
 白内障について逆転勝訴した原告は、爆心から3.1km地点での被爆であり、旧審査の方針での線量ではしきい値とされる線量には到底及ばない低線量で あった。しかし判決は、白内障に関する最新の研究報告からみて、医師団意見書の指摘と同様に、被爆者に見られる遅発性の放射線白内障および早発性の老人白 内障にはしきい値が存在しないという見解を採用して原告側の主張を全面的に認めたものである。
 一方、膵管内乳頭腫瘍の原告については、そのすべてが悪性のものとはいえないことから、悪性腫瘍である膵がんの放射線起因性と同様の類推はできないと し、爆心から1.5kmという近距離被爆者ではあるが、高度の蓋然性は認められないと判断した。
 被爆者に生じた良性腫瘍については、子宮筋腫や中枢神経腫瘍(髄膜腫)のように放射線起因性が明確になっているものもあるだけに、問題点を残した。
 しかしながら、判決全体としての基調はこれまでの司法判断に沿ったものであり、基本的には勝訴判決と考える。
 全日本民医連支援医師団と被ばく問題委員会は、今後も原爆被爆者の健康被害への全面的な救済のために力を尽くし、引き続き全国の被爆者とともに各地の認 定訴訟の原告の全員救済と原爆症認定行政の抜本的な改善、被爆者医療の充実のために奮闘する決意である。

以上

(PDF版)

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